先生の心配性 ページ36
「それくらいの物であれば効果時間はもって半日ほどだ。あまりそれの効果時間に期待しすぎず、数時間で海から上がるように。……特に、A。無理して海の中に留まらないよう気を付けろ。約束を守らないBADGIRLには後でお仕置が待っているからそのつもりでいるように！」
先生の手の中で、更に大きな音で鞭がしなる。
本気だと分かるその言葉の中には心配の色が混じっていることに二人は気づいていた。
あのフロイドでさえ気付いたのだから、クルーウェル先生の心配は相当なものだっただろう。
二人は大きく頷き返事をすると、先程二人で成功した調合物に目を向ける。
これは、ひとつしかない貴重な物だ。間違っても、使用時に失敗など出来ない。
「ありがとねー、イシダイせんせー。」
「何かあったらすぐ教師を呼べるようにしておけ。誰でもいいが…、出来るなら俺にしておくんだな。他の先生だと面倒な事になる。」
「なんで〜？」
「もし他の奴らにバレてみろ。即、Aは鳥籠の中の鳥になって身動きが取れなくなってしまうぞ。そうなればオクタヴィネル寮で保護することは出来まい。上の決定だからな。」
「えぇー？！それはヤダ！」
「だからこうやって懇切丁寧に忠告をしてやっているんだろうが。分かったな？仔犬ども。」
「「はい/は〜い」」
「返事だけは一丁前だが、返事だけとならないよう適度に気合を入れておけ。以上だ。」
そう言って先生は〈実験室〉の後片付けに入った。
それを見たフロイドは無遠慮にAを持ち上げると、自身の腕の中にしっかりと収める。
Aは慌てて先程の調合物を抱え、彼の首に手を回すとニヤリとフロイドが笑った。
「それ、一個しかないからぶっつけ本番になるけど〜、今からすっげぇ楽しみになってきた〜！」
「はい！私も楽しみになって来ました！」
「ってな訳だから、もう終わったし俺たち行くね〜？イシダイせんせぇまたね〜。」
「はぁ。全く……呑気な奴らだ。」
クルーウェル先生はそんな二人の後ろ姿を一目見て、すぐに諦めた様に片付けを再開したのだった。
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作者名：モネ | 作成日時：2021年10月5日 13時
