ウツボの本能? ページ18
眉間に皺を寄せて寝る姿はやはり休めていないのかと心配になる程。寝る時も気を張らないといけないなんて可哀想なことがあるだろうか。
「今くらい……気ぃ抜いて、頼れよ…」
自分の腕の中にいるのに気を貼ってるのが悔しいし許せない気持ちが込み上げてくる。唇を尖らせて帰れば片割れが僅かに唖然とした顔をしたがすぐに元に戻ってニコニコと笑顔になる。
「寝てしまいましたか」
「花が咲かない」
「え？」
「ルリハタちゃん、気ぃ抜くとすぐに花が咲くのに今は1個も咲かない。なんかイライラする……」
「動いている状態で寝れたらそれはそれで凄いと思いますが？」
「うーん、そんなもんかなぁ〜？」
「取り敢えず彼女を寝かせたらどうです?今日一日で沢山ありましたから。」
「ん、そうする〜」
ゆっくりベッドに下ろすと本当に僅かだが皺が緩んだ気がした。ベッドに負けた事がなんだか悔しい。
「さて、我々も寝ましょう。」
「シャワー浴びてくる〜」
「はい、お気をつけて」
シャワー浴びてくる間ルリハタちゃんを片割れに任せていたが、ウツボの本能なのか分からないが番を盗られた気がしてむしゃくしゃする。急いで上がり髪も乾かさずに部屋へ戻ると読んでいた本から顔を上げ驚く片割れ。
「フロイド、髪が乾いてませんよ。」
「ん。知ってる」
「なら、早く乾かして来なさい。ベッドを濡らす気ですか。」
「…なんかむしゃくしゃした。」
「今度はなんですか。」
「ジェイドがそんな事しないって分かってるけど、なんかジェイドとルリハタちゃんが二人きりでいると考えたらむしゃくしゃした。……盗られるって思った」
「……ふふ、あははは!!」
「っ」
急に笑い出すのでびっくりして肩が震えた。余計に唇を尖らせると笑いを堪えた片割れが必死に口元に手を当てる。それが気に食わなくてルリハタちゃんが寝ている横に腰掛けルリハタちゃんの様子を見る。
寝息を立てているものの眉間の皺は相変わらずのようだ。もっと気ぃ抜いて欲しいな……。
「フロイド。貴方、本当に彼女を番だと思ってるんですね!ふっ、笑わせてもらいましたよ。ふふっ」
「笑いすぎじゃねえ〜？」
「いや、ウツボの本能が働いているんだなと思ったら面白…じゃなく、可愛くて」
「嬉しくないんだけどぉ〜？」
「フロイド。彼女を大切にしてあげなさい。」
「分かってるって。何回皆言うんだよ……」
「それ程心配なのですよ。」
「分かったってぇ〜……」
寝ている彼女の頭を撫でた。
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作者名：モネ | 作成日時：2021年10月5日 13時
