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ゲームの参加者がビーチに戻ってきた。
プールサイドには陽気な音楽が流れ、大勢の若い男女が騒いでいる。
盛り上がる人々の中で、クイナと天龍、アリス、ウサギの四人が、なにやら話し込んでいた。
Aがそっと近寄り、おそるおそる話しかける。
「お取り込み中ごめんね......みんな、おかえりなさい。」
「!A!帰ったで〜」
「ああAちゃん。ただいま。」
カラッと笑うクイナと、穏やかな表情の天龍。
アリス、ウサギは顔をほんのり赤くして互いにそっぽを向いている。
なんだろうか、この状況は。
甘酸っぱい雰囲気を察知してAはにやと笑った。
「アリスくんとウサギちゃんも、おかえりなさい。おつかれさま。」
「あ、うす......」
「ただいまA。」
二人ともおにごっこの後から一緒に行動しているようだし、少しお互いを意識し始めた頃なのかなと、Aは思った。
大切な友人を失ったアリスのそばにウサギがいることで、少しは孤独を感じずにいられるのだろうか。
こんな世界だからこそ、ひとりでは心細くてくじけてしまう。
改めて自分にもそばにいてくれるひとたちがいることに感謝した。
「おい!ダッセエ音楽止めろ!」
威圧するような声。
大音量で流れていた音楽がぴたりと止む。
我が物顔で歩いてくる一行を、クイナが武闘派と呼んだ。
どよめきがこだまする。
こちらにズカズカと向かってくるアグニ率いる武闘派。
後ろに続くニラギが片眉を吊り上げ不敵に笑っている。
不気味なタトゥーを全身に刻んだラスボスは無表情だ。
「あいつらには関わったらあかんよ。」
本当にその通りだ。
Aは冷や汗がじわりと出てくるのを感じた。
先日ニラギにされたことを思い出す。
彼の視線がこちらに向いていることに気付き、ふいと顔を逸らした。
心臓の鼓動が早くなる。
「Aちゃん?」
心配そうに様子を伺う天龍。
大丈夫ですと伝えるが、きっとお見通しなのだろう。
ニラギの視線を遮るように立ちはだかってくれた彼の優しさに、ゆっくりと心が落ちついていく。
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おこめ(プロフ) - はーとさん» 勿体ないお言葉😭😭嬉しいです!チシヤの可愛い口、表現できてますかね…?!主人公ちゃんも反対の位置にほくろがあるんです(*' '*)気まぐれにイラストあげるかもしれないのでまた見てやってください🥹 (2023年2月20日 23時) (レス) id: 9157f8724a (このIDを非表示/違反報告)
はーと(プロフ) - おこめさん» お大事に( ᵒ̴̶̷̥́ωᵒ̴̶̷̣̥̀ )てか絵が上手すぎません?!チシヤの口が可愛い🤍 ̖́-夢主ちゃんもホクロがあるんですね! (2023年2月20日 22時) (レス) @page45 id: f292a3492c (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - はーとさん» はーとさん、お心遣い感謝です(;;)リハビリも兼ねてゆっくり執筆していきますのでどうぞよろしくお願いいたします🐈💐 (2023年2月20日 22時) (レス) id: 9157f8724a (このIDを非表示/違反報告)
はーと(プロフ) - おこめさん» 事故💦怪我が早く治りますように(T ^ T)更新も楽しみにはしてますが、無理せず頑張って下さい (2023年2月20日 16時) (レス) @page44 id: f292a3492c (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - ayaさん» ayaさん、いつもコメントありがとうございます!甘々チシヤ、完全に作者の好みなのですが、お気に召していただけたようで幸いです🐈大切に執筆している作品なのでそう言ってくださるととても嬉しいです( ´͈ ᵕ `͈ ) (2023年2月2日 22時) (レス) id: 9157f8724a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おこめ | 作成日時:2023年1月27日 1時