第九話�� ページ27
広場の中心で、紫のローブに身を包んだ一人の少年が、切り株に座っている。
瑞生「この香りは…君の仕業かい…？」
「そうだよ。俺の色香、すごいでしょ？」
瑞生「なぜ…僕らを攻撃するのかな…？もしかして…魔王の仲間かい…？」
「魔王の仲間だって？バカ言わないでよ。それはそっちでしょ？」
瑞生「な…どういう…意味かな…？」
「もうすぐ4人の魔物がこの村に来るから、ここで倒すように頼まれたのさ」
瑞生「誰…に…？」
「昨日ここを"2人"の勇者が通っていったんだ。その時に教えてもらったんだよ」
瑞生「2人…の勇者…？」
どういうことだ。
ここを通ったということは、おそらく1人は柔太朗だろう。
残る1人はおそらくあの魔王だ。
一緒に居たのだとすると、柔太朗はすでに魔王に捕らえられ、瑞生たちが生きているということがばれている可能性が高い。
そして、嘘の情報をこの少年に吹き込み、瑞生達の足止めを頼んだのだろう。
「さぁ、魔物め！この俺、琉弥がお前達を倒してやる！」
琉弥と名乗った少年がふっと息を吹きかけると、瑞生の体が徐々に麻痺していくのが分かった。
瑞生「ぐっ、なんだこれ…」
さっきまでの感覚とは違う。
手足の自由が利かない。
琉弥「俺の色香は、嗅いだものを毒に侵す。中毒から猛毒まで、なんでもね…」
瑞生「最初の香りは…中毒性があるものだったのか…。通りで皆同じ香りを求めるわけだ…」
琉弥「そして今かけたのは猛毒の一種だ。徐々に体の自由が奪われ、やがて死に至るだろう。残念だったね」
瑞生「くっ…。わかった…。僕の命はいい…。その代わり他の3人は…」
琉弥「無理だね。もう同じ毒を吸い込んじゃったと思うよ？」
瑞生「そんな…み…皆…」
瑞生の意識が徐々に遠くなっていく。
ぼやける視界の中で、仲間たちが倒れていくのが見えた。
琉弥「魔物って言うのも、案外あっけなかっ―」
そこまで言いかけて、琉弥は目を疑った。
琉弥「な、なんで？！俺の色香に中てられて、何で立ってられるんだ？！」
琉弥の前に立っていたのは―
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作者名：milkssss | 作成日時：2019年7月15日 20時
