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あれから特に変わったこともなくいつもの日常を過ごしていた。
明日からはテスト期間だ。俺はそんなにがんばらなくてもそこそこの点がとれる。よってテスト期間はいつも、勉強しつつも動画の編集をしていた。
シ「んし、帰るか。」
俺が帰ろうとすると、背中から声をかけられた。
『シルク〜。お願いがあるんだけど……。』
Aか。俺に頼みごとなんて珍しいな。
修学旅行以来、Aはマサイと二人で帰るようになった。マサイはもともと写真部で、それを追っかけるようにAも写真部へ入った。表立って活動するのは文化祭くらいで、それ以外の時はほぼ帰宅部に等しい。そういやこないだの文化祭も二人は風景写真を展示していたっけ。
なんて俺が考えていると…
『シルク?だめかなぁ?』
好きな子に困った顔で見つめられて断るやつはいない!
シ「なんだ?言ってみ?」
『勉強教えてほしいのっ!』
ーーーーーーーーーーーーーーー
なんだこの状況は……。てっきりAと二人きりで勉強するもんだと思ってたのに。
俺の前には必死で問題集を説いているマサイとAがいる。
『シルク、ここの証明問題がわからなくて……』
シ「あ〜、、これはXをここにあてはめて……」
マ「シルク!この時のリカさんの気持ちを答えよって、俺女じゃねえからわかんねぇよ!」
シ「マサイ、お前の気持ちはどうでもいい。文章の中に答えがあるから見つけるんだよ。」
つまりこういうことらしい。マサイは理系が得意だが、文系がめっぽう弱い。Aは文系が得意だが、理系は苦手。お前ら教え合えばいいじゃねぇか!と突っ込むと、"得意だけど感覚でできるから上手く教えられない"だそうだ。二人に子犬のような目でお願いされた俺は断れるずに今に至るってとこだ。
シ「お前ら、もうこんな時間だぞ。」
『ほんとだ。夕日だねえ笑』
マ「やっべ!俺母さんに買い物頼まれてたんだった!怒られる!シルクAちゃんのこと、よろしくな!」
シ「おぅ、また明日な!」
『マサイくん、バイバイっ!』
シ「じゃ、帰るか。Aは家どこだっけ?」
『大丈夫だよ!まだ暗くないし、一人で帰れるから。』
シ「マサイに頼まれたのに、お前になんかあったらあいつに合わす顔ねぇわ。」
俺も一緒に帰りたいしな。
『じゃあ、お願いします。』
シ「ん。」
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作者名:milkcrown | 作成日時:2018年12月18日 15時