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ただ逃げるように飛び出した敦は、すぐそこにあったコンビニに逃げ込むように入った。

自動ドアが開いてすぐ、レジの横に、透明なビニール傘がどさりと置いてある。

今日は雨の予報はなかったはずなのに、用意周到だ。


__そういえば、国木田さんも傘を持っていなかったけれど、大丈夫かな。

確認しようか、いやしかし大の大人にしかも上司に、こんなことくらいで電話をするのもどうだろうか。

それに、国木田が向かったのは大きなデパート。傘くらい置いてあるだろう。


敦は、手前の一番取りやすいところから適当に傘を二本とってレジへ持っていった。

店内にはさほど客も居らず、待つことなく会計を済ませることが出来た。


買った一つをさしながら来た道を早足に戻る。

__太宰さん…ちゃんといるかなぁ。

もしも、どこかにいっていたらどうしよう。

そんなことがフワフワと頭の上を飛んでいく。


今、太陽はどこら辺にあるのだろうか。

まだ、日が暮れる時間では無いはずなのに、分厚く重なった黒い雲が隠してしまっている。

道路を通る車にも殆どにヘッドライトが付いていた。


「傘、買ってきました」


太宰はベンチに寝っ転がっていた。

外から見た時、どこかにいったのかと一瞬焦ったが、きちんといてくれたようだ。

少し眠っていたのか、目をゴシゴシと擦りながら体を起こした。


「…お疲れ様。助かったよ」

「いえいえ」

「お金、後で経費から落としなよ?」

「いいんですか?」

「必要経費さ」


敦はホームレス時代の影響なのか、かなりケチになったようで、傘二本の金額も大きいものと感じているようだった。


「この頃、草しか食べてなくて…鏡花ちゃんも困ってるようで…助かります」


前言撤回。

本当にお金がなさすぎてどうしようもなかったらしい。

昼の国木田におごって貰った時にも、そういう経緯があったからなのだろう。


「おや、それは困ったね。お小遣いでもあげたいところなのだけど、あいにく財布を川に流してしまってね」

「またですか」

「うむ、今月もツケで凌ぐしかないようだねぇ」


財布の中が全財産だったらしい太宰は、空になったポケットを裏返しながらそう話した。


脱水が終わった洗濯機がピーと高い声を出した。

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みぃ(プロフ) - 紅羽さん» コメントありがとうございます!頑張ります! (2019年1月18日 22時) (レス) id: 48f4ee6765 (このIDを非表示/違反報告)
紅羽 - とっても面白いですね!更新頑張って下さい!応援してます! (2019年1月11日 20時) (レス) id: a17c6e8d22 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - yamamia38さん» こちらこそありがとうございます! 更新遅くて申し訳ございません。これからもよろしくお願いします! (2018年12月18日 18時) (レス) id: 48f4ee6765 (このIDを非表示/違反報告)
yamamia38(プロフ) - ヤバい!面白いですね!投票とお気に入り追加させていただきました!太宰さん推しだから嬉しいです。有難うございます! (2018年12月16日 22時) (レス) id: bb32575fc9 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 青森県と大阪府さん» コメントありがとうございます!ちょっと今日本にいないので更新はできないので、ごめんなさい。勧めてまでくださり…照れます。これからも、よろしくお願い致します。 (2018年10月23日 23時) (レス) id: d688bcfef3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みぃ | 作者ホームページ:p://  
作成日時:2018年10月7日 16時

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