第三十三話 おはよう ページ38
SIDE KISARAGI
私は、メイドに連れられるまま、部屋を出て、廊下を引きずられるようにしながら、あの部屋の3つほど隣へと放り込まれた。
部屋を出た時分かったのだが、やはりここは大金持ちの屋敷か何からしく、廊下は何処まで続くんだというほど長かった。
脱出を試みたら絶対に迷うレベルで。
__どうしろというんだ。
そして、放り込まれた部屋は、それはまあ豪華な装飾_こちらは白を基調とした銀色_で、どうやら私の部屋はここらしかった。
「お嬢様、聞いているのですか!!」
「え、ああ、ごめん」
「はぁ…さあ服を着替えますよ」
そういえば、私の服装はかわいいフリルの付いた青いパジャマだ。
柔らかい、おそらく良い生地が使われているだろう。
しかし、一応成長期の私のサイズがあるのは少々不思議だが…。
メイドさんが出してきたのは、どこかのロリコンを思わせるワンピースだった。
…もしかしたらこれは首領の仕業なんじゃ。
それにしてもこのメイド私のことをよく知っているみたいだ。
さぞかし、私はこの屋敷の住人であるかのように接してくる。
だが、確実にこんなところ私の記憶には…ない。
「お嬢様、朝ごはんの準備ができております。すでにお主人と奥様もお揃いですので」
「わかった」
とはいったものの、どこに行けばいいのかはわからないので、メイドさんの後をカルガモのヒナのようについていく事にした。
メイドさんは、その行動に多少不振がったが、まあいいかという風に先導してくれた。
本当は途中で黒猫を回収したかったのだが、そんなわけにもいかず、いつの間にか食堂と思われしところまでついてしまった。
メイドさんが大きなフレンチドアを開けると、長い机と椅子が無駄に広い空間の中央に設置されていた。
そこの_いわゆる誕生日席といわれるところに40前後の男性。
そして、そこを左に直角に曲がったところに、男性と同じ年代の女性が座っていた。
二人共の、それと女性の正面の席には朝食と思われるものが丁寧に並べてあるように見える。
私たちが入ってきたことに気が付き、二人ともが目線を向ける。
そして中年の男性が口を開いた。
「おはよう、遅かったじゃないか、何かあったのかい」
「おはよう、さあ、早く食べましょう」
その言葉に私は顔を引きつらせながら「おはよう…」というしかなかった。
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みぃ(プロフ) - 傾国萌えのセネンさん» !? すみません、コメントに気がついて居ませんでした!! 遅くなって申し訳ございません! あら、そうなのですね、知りませんでした。書き換えて起きますね! (2018年4月3日 18時) (レス) id: d62fbb3902 (このIDを非表示/違反報告)
傾国萌えのセネン - 13話を見て思ったのですが、ユリの花は匂いが強く花が下向きに咲いていて縁起が良くないのでお見舞いには向いていないですよ。 (2017年9月17日 23時) (レス) id: 343bba7f6a (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 由由由さん» おお! こっちにもコメントくださいありがとうございます! 頑張りますね! (2017年8月1日 8時) (レス) id: d62fbb3902 (このIDを非表示/違反報告)
由由由 - 面白い!続きが楽しみ! (2017年7月31日 17時) (レス) id: 1589b544b5 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 藤猫さん» コメントとご指摘ありがとうございます! 矢張り夜中に更新すると誤字が増えますね…ありがとうございました!! (2017年3月30日 10時) (レス) id: 7206b13d0b (このIDを非表示/違反報告)
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