第二十話 撃退 ページ25
織田さんが私を連れて走り出す。
もちろん敵は私たちの逃走を拒もうとするが織田さんの異能力には無駄に等しい。
織田さんのすぐ後をついてくるのは安吾さん。
彼も異能力者のはずだが…どのような異能力なのだろう。
ここで私たちと一緒に逃げるということは戦闘系の異能力ではないのだろうか。
「っ!!」
織田さんの目の前に新手が現れる。
どうやら先回りしていたらしい。
織田さんの異能は知っての通り数秒後の未来を見る能力。
「しまった…囲まれた」
「…どうしますか?」
「こっちには子供が二人だ。 …安吾、二人を連れて逃げれるか?」
「…頑張っては見ますが、期待はしないでいただきたい」
__無茶だ!!
もちろん安吾さんは特務化のエージェントだからこれくらいのことなんちゃないだろう。
しかし、今この場に現れた敵はざっと10人以上。
この数を織田さん一人で。 しかも殺さずになんて…できるはずがない。
それにいまの織田さんは軽装備のはず…。
ああ、早く双黒が戻ってきてくれれば。
その時、私の頭の中で声がした。
確かに、聞いたことのある声。
「手を貸そうか?」
瞬間私は光に包まれた。
…違う。
織田さんの頭が一瞬光に包まれたのだ。
気が付いた時、織田さんの頭の上にいたはずの黒猫はその場にはいなくて、私の本当の体。
つまり、トリップする前の私がそこにいた。
『はぁ!?』
「ギャーギャーうっさい。 ほうら、早く命令を!」
織田さんもエリスちゃんも安吾さんも、私も。 いったい何が起きたのかはわからない。
…実際にみんな口を開けてぽかんとしている。
敵までもだ。
『え、じゃあ! やっつけて! この敵みんな!』
それを耳に入れるや否や、私の元の体と全く同じ姿の少女は、何やら大きな刃物をどこからともなく取り出し、敵に振り込んだ。
彼女の武器はそれだけではなかった。
自動式拳銃。
右手に何やら大きな刃物、左手にその拳銃を持った彼女はバッタバッタと敵をなぎ倒していく。
その速さは並外れていた。
実際に敵は私たちに反撃を与えることなく消えていく。
何人かがぎりぎりのところで逃げ出した。
私たちはこの突然の出来事に頭が追い付いていなかった。
しかし、みな、頭の中の考えは一緒だった。
__こいつは異能力者だ。
いつの間にか彼女が持っていた二つの武器は跡形もなく消えていた。
彼女はその見飽きた顔を私たちに向けて、ふわりと微笑んだ。
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みぃ(プロフ) - 傾国萌えのセネンさん» !? すみません、コメントに気がついて居ませんでした!! 遅くなって申し訳ございません! あら、そうなのですね、知りませんでした。書き換えて起きますね! (2018年4月3日 18時) (レス) id: d62fbb3902 (このIDを非表示/違反報告)
傾国萌えのセネン - 13話を見て思ったのですが、ユリの花は匂いが強く花が下向きに咲いていて縁起が良くないのでお見舞いには向いていないですよ。 (2017年9月17日 23時) (レス) id: 343bba7f6a (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 由由由さん» おお! こっちにもコメントくださいありがとうございます! 頑張りますね! (2017年8月1日 8時) (レス) id: d62fbb3902 (このIDを非表示/違反報告)
由由由 - 面白い!続きが楽しみ! (2017年7月31日 17時) (レス) id: 1589b544b5 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 藤猫さん» コメントとご指摘ありがとうございます! 矢張り夜中に更新すると誤字が増えますね…ありがとうございました!! (2017年3月30日 10時) (レス) id: 7206b13d0b (このIDを非表示/違反報告)
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