第十五話 首領らしい首領 ページ19
「Aや」
『はい』
「怪我の調子はどうかぇ?」
『順調に回復へと向かっております』
私達__中也さんと私__は張り詰めた空気の中、口だけを動かしていた。
(笑顔なところがまた怖ぇ…)
いつ起こりだすのだろう…張りつけたような笑みは私を優しげに見つめる。
ああ…怖い。
「…過ぎた事じゃ。 怒ってはおらんよ。ただ」
ホッとしたのもつかの間、「ただ」と言う事御場に私達は再び顔をひきつらせる。
中也さんまで緊張する意味は無いと思うのだが、一緒の空間にいるため場の空気に感染してしまっているのだろう。
「私はAの為を言っておるのじゃ。 これからは素直に言う事を聞く事… わかったな」
『はい』
…お、終わった?
確かに、姐さんの言うとおりだ。
私がQの異能の事を知らなかったら早々に私の精神は壊れていただろう。
出た私が悪いのだ。
そして、これから先の未来で、私が知らない事は多々あるだろう。
その時、今回の様に単独行動や命令違反を行った場合、私に待っているのは死だ。
姐さんはそう言う事も含めて、私を叱っているのだろう。
「あ、姐さん! 大事な事を言うのを忘れてた。 いますぐ首領んとこ行きましょう」
「大事な事…? 何の事じゃ?」
「Aの事だ」
という事で、私達は首領のもとへ向かった。
最上階までエレベーターで昇る。
警備の者を片手で下がらせ、大きな扉の前に立つ。
「首領、尾崎じゃ」
「中原です」
…勿論返事は無い。
イライラした顔で姐さんが「おい、ロリコン」と言い中が乱暴に扉を開けた。
案の定そこにはエリス嬢と楽しそうににケーキを食べている首領の姿が。
…うん。 私も食べたいな。
「あら! Aじゃない! 今日こそ一緒に遊びましょう!」
『勿論ですとも!』
「はぁ〜 エリスちゃんが楽しそうでなによりだよ。 ねぇ、君、この服着てみない? エリスちゃんとお揃いなんだけどね。 エリスちゃんが赤だから君は青。 ね、着てみない?」
グイッと私に顔を近づけ、手に持った青のワンピースをヒラヒラさせる。
__いや、確かに着てみたいのだけれども…後ろで姐さんが今にも夜叉を出しそうなので後にしてもらってもよろしいでしょうか。
「鴎外…貴様はいい加減首領らしくしたらどうなのじゃ…はぁ」
「ええ? ちゃんと仕事はしてるんだけどなぁ」
…今のところ見たことないけど。
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みぃ(プロフ) - 傾国萌えのセネンさん» !? すみません、コメントに気がついて居ませんでした!! 遅くなって申し訳ございません! あら、そうなのですね、知りませんでした。書き換えて起きますね! (2018年4月3日 18時) (レス) id: d62fbb3902 (このIDを非表示/違反報告)
傾国萌えのセネン - 13話を見て思ったのですが、ユリの花は匂いが強く花が下向きに咲いていて縁起が良くないのでお見舞いには向いていないですよ。 (2017年9月17日 23時) (レス) id: 343bba7f6a (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 由由由さん» おお! こっちにもコメントくださいありがとうございます! 頑張りますね! (2017年8月1日 8時) (レス) id: d62fbb3902 (このIDを非表示/違反報告)
由由由 - 面白い!続きが楽しみ! (2017年7月31日 17時) (レス) id: 1589b544b5 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 藤猫さん» コメントとご指摘ありがとうございます! 矢張り夜中に更新すると誤字が増えますね…ありがとうございました!! (2017年3月30日 10時) (レス) id: 7206b13d0b (このIDを非表示/違反報告)
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