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第九話 推理 ページ11

「あ、太宰さんお帰りなさい!」


谷崎君が半分声を裏返しながらそう言った。

その声に反応したほかの社員がざわめきだす。


私はそのまま与謝野女医の元へこの担いでいる女性を届けに医務室へ向かった。

案の定そこには与謝野先生が準備万端の状態で待機していた。


「さぁ、早く寝かしな」


言われた通り私は女性をベッドに寝かす。


「おや、出ていかないのかい? 今から診察するんだが。 まぁ、心が完全に女性ならいてもいいが? 何もやましい気持ちがないのなら」

「いえいえ、出ますよ!」


慌てて医務室を飛び出す。

あらぬ罪をかぶせられるのはごめんだ。

…やましい気持ちがないわけがないだろう? あ、罪あったね。


「おい太宰。 犯人は?」

「それがまだらしくて」


乱歩さんが駄菓子をあさりながら問いかけてきた。

迷った末、決めたのは細身のチョコポッキーだ。

それをいつかのじゃがりこのCMのようにしながら食べ始めた乱歩さん。

…いつも通りだな。


「ふぅん…早くしないとやばいかもね」

「…はい」


社内に緊張が走る。


犯行に失敗した犯人はいったいどんな行動をするかわからない。

故に今回のこの状況は誠にヤバイ。


「犯人は用意周到な奴だからね…そんなやつこそこの後何も考えずに犯行に及ぶんだ…。 あの駅の西口の近くのトイレ。 たぶんそこで犯人は服装を変える。 あそこ人通りが多いから紛れやすいあらね。 そのまま外に出る可能性が高い。 わかったか、国木田」


乱歩さんが推理を始めた瞬間私は国木田君に電話を掛けた。 スピーカーにしたので乱歩さんの推理がそのまま伝わったはずだ。


「わかりました!」


国木田君はそう叫び電話を切った。


乱歩さんの口角が少し上がっている。

…国木田君はおそらく犯人を捕らえるだろうな。


「太宰、そこのねるねるして食べるお菓子とって」

「あ、はい。 これですか?」

「ちっがーう! それはねるねるして遊ぶお菓子!」

「じゃあこれですかね」

「うん、それだよ。 …太宰もまだまだだね」

「はは、そりゃそうですよ」


…乱歩さんはほんと、すごいからね…。

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(プロフ) - 16ページ 放棄 は誤字ではないでしょうか? (2021年5月26日 23時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
文豪 - だ、太宰さんカッケー! (2019年6月9日 16時) (レス) id: 31faebb885 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 詞音さん» コメントありがとうございます! 途中更新停止とかしてしまってたのでメチャメチャ時間掛かってます(汗 他の作品もほぼ完結してないという事態でして(泣 だいたい、一話書くのに2時間かけてます。あ、アンケートありがとうございます! (2018年4月8日 19時) (レス) id: d62fbb3902 (このIDを非表示/違反報告)
詞音 - 私も書いてみようかな…。(・∀・;) (2018年4月8日 17時) (レス) id: 6b5092fe94 (このIDを非表示/違反報告)
詞音 - あと!太宰さんとの師弟関係が見てみたいです!新作楽しみにしています! \(´∀`)/二回コメントしてすみません (2018年4月8日 17時) (レス) id: 6b5092fe94 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みぃ | 作者ホームページ:p://  
作成日時:2017年5月14日 2時

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