手紙。

9 ページ9

次の日。


「Aおはよ」

『絢、おはよ。あのね「昨日さ」』


話を遮る絢美。

たまに話したいことがあると話を遮ることがあるのが難点だと思うが。


『え、あ…何？』

「ケンティかっこよかった！」

『あー、あの歌番組ね。あたしはGENEの部分しか見てないから』


興味がないわけではないが、昨日は手紙を書かなければいけなかったのもあって途中で見るのをやめた。


「てか、片寄くん話してたけど【拝啓】って何？」

『それね、あたしも確証は無いんだけど……』


とファンレターを書き、その始めに【拝啓 片寄涼太様】と書いたこと。

返事が来てそれにも【拝啓】と使われていた事を説明した。


「え、凄いじゃん！１回で返事来るなんて羨ましい。その拝啓だって確実にAが書いたからでしょ」

『そう思う？』

「それ以外ある？」

『他の子かもしれないよ』

「タイミング良すぎでしょ。いい方にとらえなよ！」

『うん』


説得力があるのか、絢に言われると納得する自分がいる。


「また書くの？」

『社交辞令なのか、また書いてくれるの期待してるって』

「書くしかないね！」

『今頑張ってる』

「頑張りついでに、歌唱王も予選通ったから頑張りなよ 笑」

『え、本当に！？』


コレね、と渡された予選通過のお知らせ。

そして次の番組収録の日付と場所だった。


『大変だなぁ』

「頑張れ！応援いく」

『うん』


やるしかないと気合いを入れるのだった。

10→←8

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す