【神威】払 う モ ノ

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手ぶらになった私は
気を使いながらも、その豪邸へ足を踏み入れる




…やっぱり、広い





玄関でさえも、実家の２倍以上はある






「(こんなとこで、暮らせるんだ)」





「ほら、そんなとこ突っ立ってないで


こっち」




両手が塞がってるからか、
顎でクイッと行く方向を示す




「…あ、あの



ここに住んでる人って、他には…」




「あーー、前まで彼女住んでたけど

別れたからもういないヨ」




「は、はぁ」





うわ、まずいこと聞いちゃったかな
とか思ったけど

神威さんにとってはそんなことは無いらしい





「あれ、じゃあ

ここに住んでるのは神威さん、だけ？」




「そうそう」




「え、でも、誰がここのお家賃を…」




「ん？ 俺だけど」






それはおかしい


ここの家賃

見るからに安いわけがない



なのに、神威さんひとりで払っているなんて




疑問を抱くのも当然だと思う







「す、すいません…

し、失礼ですが、ご職業は……？」






「えとね、株式会社春雨って聞いたことあるでしょ？


アレの社長」






なるほど、納得




する訳ないだろ

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