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「今日、本当は飲み会だったのにな〜」
蘭さんの犬生活にも慣れ始めたある日。蘭さんから呼び出しがあった。
蘭さんの命令第1なので、用事がダブった時は断るしかない。
さもなくば死ぬ。
時間的に、会社から直接行くしかなさそうなので、スーツに仕事用のカバンという格好のまま指定場所へ向かう。
蘭さんは事ある毎に「殺す」って言ってくるけど、本気で言われたことはまだない。
でも飽きられたら殺されるんだろうなって考えると生きた心地はしない。
「そろそろ遺書書いとこうかな」
ため息混じりに呟くと、
「誰が遺書書くって?」
と蘭さんが肩の後ろから顔を出した。思わず悲鳴を上げて1歩退く。
「安心しなよ。まだ殺すつもりないから」
「はぁ……」
"まだ"って言ってんじゃん。だから遺書書くっつってんだよ。
蘭さんの顔を見ると、口元を緩めた。
「行こうか」
「今日はどこへ?」
「俺の家」
「え!? 蘭さんの!?」
「うん」
なぜ!? 殺される!?
ちょっとしたことでも反射的に死を覚悟するようになった今日この頃。
まじでやめたいこんな生活。
「たまってんの」
「へ、何がですか?」
「いいから来て」
「わかりました」
仕方なく蘭さんの家に上がると、そこは豪邸だった。
まぁそうだよね……。
感動して部屋をキョロキョロと見回す。
私のワンルームとは大違いだ。
「後でゆっくり部屋見ていいから、とりあえず洗濯して」
「たまってるって洗濯物のことだったんですね」
「あと皿もたまってる」
「なるほど」
うん、家事できないのかな?
しかし私にNoという選択肢はないので、すぐさま作業に取りかかった。
とはいえ全自動洗濯機に全自動食洗機。
うん、絶対自分でもできるだろ。
「蘭さんはのんびりしていてくださいね」
「うん」
蘭さんはソファに座ると、こっくりこっくりし始めた。
仕事で疲れているのかな。
ちょっとだけかわいいかも。
仕事はかわいくないけどな!!
いいなぁ。仕事終わってから直でここに来たから私も疲れた。眠い。寝たい。
そんなことを考えながら、洗濯機に洗濯物を、食洗機に皿を入れてスイッチを押した。
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まお - 完結おめでとうございます!キュンキュンしながら読ませていただきました。蘭ちゃんの色気がものすんごいのは間違いない(確信) (2022年1月23日 7時) (レス) @page31 id: 4ee49a658f (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - 華さん» ありがとうございます!!良作を作れるよう頑張ります! (2022年1月17日 14時) (レス) id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)
華 - 完結、おめでとうございます! これからも変わらず応援してます! (2022年1月16日 23時) (レス) @page31 id: a19f9ab121 (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - ゆさん» 最後まで読んでくださりありがとうございます!素敵と言っていただけて嬉しいです!☺️ (2022年1月16日 20時) (レス) id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - ATR214YSさん» 最後まで読んでくださりありがとうございます!楽しんでいただけて光栄です😌 (2022年1月16日 20時) (レス) id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みくる | 作成日時:2021年12月2日 19時