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「Aは何の仕事してんの？」
「ただのOLです」
数回目の食事。最初の頃は恐ろしくて会話もままならなかったが、少しずつ話せるようになってきた。
今のところまだ食事の命令しか出されたことはない。
もっとパシリとか、最悪殺しの手伝いとかをさせられるかもと想像していた。
まぁ、今後させられない保証はないんだけど。
「あの時も仕事帰り？」
「そうです」
あの時とは、殺人現場を目撃した時のことだろう。
あの日がほんと、運の尽きだったなぁ。
残業で遅くなって、近道しようといつもは通らない路地裏に入ってしまったのだから。
いつも通りに帰るか、タクシーで帰ればよかったんだ。
しかし、過去を後悔しても仕方がない。
「Aはスーツ似合うよね」
「え、そうですか？」
「うん。美人だからね」
「ど、どうも？」
蘭さんは微笑みながらワインを口にする。
確かに初対面の時からタイプと言われているが、この人に褒められるのはどうにも慣れない。
素直に喜べないのはこの人が闇社会の人間だからだろうか。
私はぎこちない手つきでメインディッシュの魚料理にナイフを入れた。
高級な食事にも少しずつ慣れてきてしまい、家での食事が質素に思えて困る。
「俺も仕事でスーツを着ることあるけど、落ち着かないんだよね」
蘭さんは軽く肩を回しながら言う。
「スーツは動きにくいですよね。私も好きじゃありません。特にストッキングが煩わしいです」
「Aもズボンにすればいいのに」
「そうですね。私も考えたことあるんですけど、接待とかさせられるので、女らしさは欠かすなと言われているんです」
「誰に？」
「上司です」
蘭さんは「ふーん」と言いながら魚にフォークを刺した。
それを口に運び、モグモグと咀嚼して飲み込むとサラッと言った。
「そいつ、スクラップにしてやろうか？」
「ﾌﾞｯｯ」
思わず口に含んでいた赤ワインを吹き出す。
「お前、吹き出しすぎ」
「すみません!!」
初めての食事で食前酒を吹き出した事が頭をよぎる。
今度こそ殺される!?
しかし蘭さんは何も言わなかった。内心ほっとしつつ
「私のためにスクラップとか大丈夫ですから」
と先程の提案をやんわりと断った。
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まお - 完結おめでとうございます!キュンキュンしながら読ませていただきました。蘭ちゃんの色気がものすんごいのは間違いない（確信） (2022年1月23日 7時) (
レス) @page31 id: 4ee49a658f (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - 華さん» ありがとうございます！！良作を作れるよう頑張ります！ (2022年1月17日 14時) (レス) id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)
華 - 完結、おめでとうございます！ これからも変わらず応援してます！ (2022年1月16日 23時) (レス) @page31 id: a19f9ab121 (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - ゆさん» 最後まで読んでくださりありがとうございます！素敵と言っていただけて嬉しいです！☺️ (2022年1月16日 20時) (レス) id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - ATR214YSさん» 最後まで読んでくださりありがとうございます！楽しんでいただけて光栄です😌 (2022年1月16日 20時) (レス) id: af4838d834 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みくる
| 作成日時：2021年12月2日 19時
