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家族になって三十日目 ページ7

それから数十分後。丁度小腹が空くおやつどきの時間帯に、私と同じ年くらいの少女が音楽を聞きながら俯き気味に歩いて来る。

直感的に、この子だと思った。


『ねえ』

「...?!」

「あ、ちょ、Aさん」

声をかけると、びくりと大袈裟に肩を揺らして眉を下げ困った顔をする彼女に、目線を合わせるように少しだけ顔を傾けて下から覗き込む。

『初めまして、菊池唯ちゃんだよね。私少し前に貴方の学校に転入してきた柏村っていうんだけど』

「え! あっ、学校の、人?」

益々困った顔でもはや後退りまでし始める腕を待ってと掴む。勢いのまま掴んだので少し力んでしまったらしく、彼女の顔が歪められて慌てて手を離した。

それに怯んでしまったのかしつこさに参ってしまったのか、今度はきちんとこちらと目を合わせて話を聞く姿勢を取ってくれた。

『あのね、私美奈って子と友達になって、貴方のことを聞いたの。それで気になったから来ちゃった。ごめんね突然...』

んと言い切るのとどちらが速かったか。先程では考えられない腕力と速度で、半ば突進するように横を抜けられた。驚いて反射的に後ろに足を踏み込みそれを軸に振り返って行く手を阻むと、思ってもみない剣幕で怒鳴られる。

「退いてよ。 帰って、帰って!!」

『な、どうしたのいきなり』

尚も彼女はまるで正常とは考えられない必死の形相で
どこか苦しそうに退いて、帰ってと繰り返す。

「お願いだから私に関わらないで!」

ダメ押しの一言に思わず閉口してしまった。

ごめん、呟くように謝るとその場を立ち去る。心配そうな表情の黒服さんと無言で見つめあうと、どちらともなく家の方向へと歩き出した。その間彼は何も言わなかった。この人、いい人だな。

*

「A? 手前、元気ねぇな」

『うん、あんまり食欲なくて』

「じゃあ食べやすいうどんにでもするか」

『うん...』

生返事でソファの上で体育座りをしながら考え込む。布地に隠れた膝小僧に顔を埋め、唯ちゃんとの出来事を思い出していた。

別に、拒絶されたことに傷ついたわけではない。

ただ昔の自分を見ているようで居心地が悪かったのだ。中也さんと出会うまでの私は、他人と関わることを極端に嫌っていたし、いつも何かに怯えながらも虚勢を張っていた。

そして私も。触れられたくない部分に土足で踏み込まれたとき、あんな風に激情を露わにした。

その“部分”が一体なんなのか、思い当たる節がある。

『知らない振りは、できないな』

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#harigaya mako*(プロフ) - 苗代さん» 頑張って下さい(*^^*)楽しみに待ってます!! (2018年10月1日 0時) (レス) id: 509492d3f2 (このIDを非表示/違反報告)
苗代(プロフ) - #harigaya mako*さん» おめでとうコメントありがとうございます。これからも少しずつですが更新していくので、今後の展開を楽しみにして頂けたら嬉しいです。 (2018年9月30日 19時) (レス) id: 4044429dac (このIDを非表示/違反報告)
#harigaya mako*(プロフ) - 大変遅くなりましたが続編おめでとうございます!!これからも、応援してますm(*_ _)m (2018年9月30日 14時) (レス) id: 509492d3f2 (このIDを非表示/違反報告)
苗代(プロフ) - 朔さん» コメントありがとうございます。お褒め頂けて嬉しいです。少しずつですが更新も頑張っていくので、どうぞこれからもよろしくお願いします。 (2018年9月29日 7時) (レス) id: 4044429dac (このIDを非表示/違反報告)
- 初めまして朔です、面白くって前作から一気に読みましたこれからも応援してます。 (2018年9月29日 3時) (レス) id: bee8cd2a37 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:苗代 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年9月24日 15時

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