家族になって二十四日目 ページ1
「おい、A。どういうことだ」
『別に一々中也さんに伝える必要もないでしょ』
「あ? 勝手なこと言ってんじゃねえぞ」
『私は何ともないんだから。それでいいじゃん』
珍しく口論になる二人を見て、困ったようにあたふたと動く中島。その後ろでまた面倒なことになったと素知らぬ振りを決め込む太宰。
何故こんなことが起きているのか。
その答えは二週間ほど前に遡る。
*
転入してすぐ、友達が出来た。
隣の席の美奈という可愛らしい女の子だ。優しくて、綺麗な顔をしていて、柔らかい雰囲気に好感が持てる子だった。
けれど友達になってすぐにわかったこと。それは、彼女がいじめられていること。どうやらの女子数人のグループにお金を集られたり、わざとバケツの水をかけられたりしているらしい。クラスメイトは皆、見て見ぬ振りをしていた。
それでも彼女は私の前でだけは気丈に笑っていた。なんてことないよ。そういいながら楽しそうに明るく笑っていたけれど、その腕にある押されて転んだ際に打ち付けてできた痣が痛々しかった。
美奈は何も言わず、私に相談したり愚痴を言ったりしなかったために、状況を一週間静観していたものの、ある日とうとう来てしまった。
「もう、つらい」
美菜が泣いた。もう辛いと弱音を吐いて。
私は、既に我慢ならなくなっていた。
この感情は知ってる。中也さんのことを探偵社で悪く言われたとき感じたものと同じ、怒るということだった。私は初めての友だちを泣かせたクラスメイトたちに対して激しく怒りを覚えたのだ。
『ねえ、格好悪いことやめなよ』
その言葉に女の子たちは、不気味ににやりと笑う。
ターゲットが完全に切り替わった瞬間だった。
そして、現在に至る。
事は最も面倒な形をとって彼に知れてしまったのだ。
標的にされたことをきっかけに私は傷を負うことが多くなった。腹部こ傷に比べれば大したことはないけれど、真っ先に頭に浮かんだのは心配する中也さんの顔。
怪我のことを詮索させてはまずい。そう思った。
幸い体育祭の時期で、ある程度怪我をしても違和感はなく、私の場合中也さんたち曰く細身であるために多少大袈裟でも心配こそされても問題視はされない。
それでも手当てをしていなければ疑われるのは明白だった。けれども保健室に頼れば変に誤解したあのクラスメイトたちが、また標的を変えるかもしれない。
それを危惧した私は、仕方なく探偵社を訪ねたのだ。
まさか中也さんと出会すとも考えずに。
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#harigaya mako*(プロフ) - 苗代さん» 頑張って下さい(*^^*)楽しみに待ってます!! (2018年10月1日 0時) (レス) id: 509492d3f2 (このIDを非表示/違反報告)
苗代(プロフ) - #harigaya mako*さん» おめでとうコメントありがとうございます。これからも少しずつですが更新していくので、今後の展開を楽しみにして頂けたら嬉しいです。 (2018年9月30日 19時) (レス) id: 4044429dac (このIDを非表示/違反報告)
#harigaya mako*(プロフ) - 大変遅くなりましたが続編おめでとうございます!!これからも、応援してますm(*_ _)m (2018年9月30日 14時) (レス) id: 509492d3f2 (このIDを非表示/違反報告)
苗代(プロフ) - 朔さん» コメントありがとうございます。お褒め頂けて嬉しいです。少しずつですが更新も頑張っていくので、どうぞこれからもよろしくお願いします。 (2018年9月29日 7時) (レス) id: 4044429dac (このIDを非表示/違反報告)
朔 - 初めまして朔です、面白くって前作から一気に読みましたこれからも応援してます。 (2018年9月29日 3時) (レス) id: bee8cd2a37 (このIDを非表示/違反報告)
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