出会って七日目 ページ8
点々と続く血を追い、本部の廊下を歩く。規則的に着いた跡はまるで俺たちを呼ぶようにも見えた。それが徐々に薄くなっていき、一つの部屋の前で消えた。
正確には扉に遮られて途絶えてしまった。慎重に辺りを見回しても、他に同じような道標は見当たらない。つまりこの部屋で間違いない。
扉を背に立原と頷き合い、音を立てないよう細心の注意を払いながら少しだけ戸を開ける。その隙間から覗けば中には床に座り込んだA。項垂れているようにも見える。その状態で首を振ったり、頷いたり、なにか意思を示していた。
もしかして彼奴、侵入者に脅されて自白を強要されているのか？
組織に所属するガキを攫って弱みになる情報等を吐かせ、その線の利用価値がないと知れば人質とする。安直な弱小組織がよく考える手だ。Aはそれに巻き込まれたのかもしれない。
「行きますか」
「あァ...行くぞ」
ばんと音を立てて部屋に押し入って全体を見渡す。
けれども人影はどこにも無く、視界の端に驚いたようにこちらを見る少女が映るばかり。他に俺たち以外の気配があるとすれば。
「にゃああ」
「は？」
『え？』
猫、たった一匹。
*
「なぁA？ 部屋に居なかった理由って」
おそるおそる探るように立原が聞く。そんなこと聞かずともわかってはいるが、一応確認の意味があるのだろう。何せさっきまで完全に臨戦態勢だったのだから。拍子抜けした。
『うん。寝ようとしたら窓からこの子が入ってきて、気になって追いかけてたらこの部屋まで来ちゃった。戻り方もわからないし、仕方ないから遊んでたの』
「廊下にあった血は」
『多分猫が私を引っ掻いたときに付いたんだと思う。結構深くいかれたから』
「だから妙に規則的だったのか」
安心したのか頭を抱えてへたり込む男とは裏腹に、俺は身体をぴくりとも動かせないでいた。こちらを見上げた彼女の目が見開かれたから相当ひどい表情をしていたのだろう。
顔を伏せて、ゆっくりと彼女の前に立つ。
そして腕を振りかぶった。
『?!』
乾いた音がすると同時に、少女が左の頬を抑える。赤く腫れていた。そりゃそうだ。俺が殴ったのだから。皮の手袋をしていても腫れるくらいには、強く殴ったのだから。
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苗代(プロフ) - 彩花さん» コメントありがとうございます。これからも頑張って更新していくので、ぜひご贔屓に。 (2018年7月18日 23時) (
レス) id: 4044429dac (このIDを非表示/違反報告)
彩花 - とっても面白くて一気読みしてしまいました!!!これからも頑張ってください！と (2018年7月17日 15時) (レス) id: 2058922f9b (このIDを非表示/違反報告)
#祭鼓*@harigaya mako*(プロフ) - 苗代さん» よろしくお願いしますm(__)m頑張ってくださいq(^-^q) (2018年7月13日 18時) (レス) id: 509492d3f2 (このIDを非表示/違反報告)
苗代(プロフ) - #祭鼓*@harigaya mako*さん» 初めまして、作品を好きだと言って頂けてとても嬉しいです。これからも出来るだけ頑張って更新を続けていくので、これからもよろしくお願い致します。 (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4044429dac (このIDを非表示/違反報告)
#祭鼓*@harigaya mako*(プロフ) - 初めまして(*^^*)こんにちは(・∀・)ノこの作品本当に大好きです(*≧∀≦*)更新頑張ってくださいq(^-^q)応援してます(σ≧▽≦)σ (2018年7月12日 23時) (レス) id: 509492d3f2 (このIDを非表示/違反報告)
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