愛のある本当の世界 ページ22
ピッピッと機械音がする真白い部屋の中で、ゆるりと目を開けた。カーテンの隙間から差し込む日差しが眩しい。昼間の明るい陽のようだった。
『わたし...』
ちゃんと、生きてる。
身体が上手く動かない。思ったとおりだった。目線を彷徨わせていると、突如視界の端で動きがあった。入室してきた顔を見て安心する。
『おか、さん』
掠れた声で呼んでもきちんと聞こえていたようだった。驚きのあまり数秒固まった後、すぐにナースコールをして涙を流しながら手を握る。私の知っている母よりも随分痩けたという印象だった。
「ばか、ばか! ジサツなんて、本当になんて馬鹿なこと...。何か悩みがあったんなら、お母さんに言って欲しかった。独りで、無理しないで欲しかった」
ごめんね。
一言返すので精一杯で、力の入らない手で弱々しく握り返す。
お母さんはまた声を上げて泣いていた。
それからしばらくしてリハビリを経て学校にも登校出来るようになった。友人の何人かにも泣かれて、申し訳ないと思いつつも本音をぶつけたところまた泣かれて、快く受け入れられた。
辛かったのなら早く言ってくれればよかったのに。Aは、Aだから。みんなのためのいい子じゃなくていい。いつも頑張りすぎてたんだよ。
その言葉に、私も少しだけ泣いた。
私はそうして新しいような日常に戻ろうとしている。
けれど、心の奥にある宝物は輝いていた。
テレビの中で聞き馴染んだ声の亜麻色が踊る。
彼の姿を見て、声を聞いて、存在を感じた。
また私は画面越しの貴方に三度目の恋をする。
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苗代(プロフ) - 斜陽族さん» コメントありがとうございます。最後の最後に一気に更新したので、急ぎすぎてしまった感じは否めませんが、そういって頂けて本当にありがたいです。環境がら多忙なことに変わりはありませんが、これからも作品を書き続けていくつもりなのでどうぞよろしくお願いします。 (2019年1月3日 11時) (レス) id: 4044429dac (このIDを非表示/違反報告)
斜陽族 - 読み終わってとっても感動しました!こういう深いお話好きです。発想力があって尊敬してしまいます。これからも無理のない程度に頑張って頂けると嬉しいです! (2019年1月3日 10時) (レス) id: 4feb0da943 (このIDを非表示/違反報告)
苗代(プロフ) - マッキーさん» コメントありがとうございます。現在とても忙しい状況で、当作品も含め連載中の作品全て手がつけられていないのですが、そろそろ更新を再開していくつもりなのでどうぞよろしくお願いします。 (2018年12月26日 11時) (レス) id: 4044429dac (このIDを非表示/違反報告)
マッキー(プロフ) - 更新頑張ってください! (2018年12月25日 22時) (レス) id: 0346650c4f (このIDを非表示/違反報告)
苗代(プロフ) - リツさん» ご丁寧なコメントありがとうございます。主人公の設定は私を自己投影して作成している面が大きいので、読者の方にそう言って頂けてとても嬉しいです。ぜひ最後までお付き合い下さい。 (2018年11月21日 17時) (レス) id: 4044429dac (このIDを非表示/違反報告)
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