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第二十三話 ページ23











 「天使は未だに馬鹿みたいだな。堕ちて理解したよ、神は、天使のことを信頼しきっているようだけれど。何もしない神、その存在意義とは? 天使はただの駒でしかない。駒は、倒して倒していずれ神だって、何かの駒でしかない。この二世紀、二百年の間、何を行い、何を行ってこなかったか。怠った己を恥じれ、そして、われわれと戦え偽善者。天使は、地獄の王には勝てない。二人の王に勝てる駒がいるはずがないからな」


 エクエスは余裕綽々として、神への冒涜をした。


 神の前で。


 隣には神殿がある。

 そんなことを気にも留めず、そう淡々と。


 「貴様ぁ!」


 握りしめた拳の中で槍を召喚した。

 エクエスに向けて刃を向けた。


 槍を向けられ、その刃はあと少しで顔を突き刺せるというところまで迫っているにもかかわらず微動だにしなかった。

 勝てるという自信があるのか、魔法を使えばどうにかなるとでも思っているのか。
 

 「俺には通用しないぞエクスシーアイの騎士。俺は別にここで戦いたいわけじゃあない。知らせに来たのだ」

 「は? 知らせ、って……」

 「馬鹿でもわかるようだな。【始まりの鐘】、これ以上は言わずともわかるだろう。そういうことだ」


 そう言うと、エクエスは立ち上がり、そのまま消えた。


 エクエスが消えたと同時に議事堂からフォルティエスが走ってきた。


 「ダント!」

 「天使長、あの」

 「ムーシトゥスが」


 そうフォルティエスが言いかけた次の瞬間、嫌な音が天界全域に響いた。



 【始まりの鐘(アルケー・グイロ)】だ。
 


 二人同時に、ラッパの音が聞こえた瞬間、バッと聞こえる方を見た。


 ムーシトゥスが、涙を流しながらラッパを吹いていたのだ。

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作者名:赤間 | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年5月18日 17時

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