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第三話 ページ3





 「【始まりの鐘(アルケー・グイロ)】が鳴る、と。そう伝えにきました。ああ、もちろん。私の意思で来ました。私には上司はおりません故」


 【始まりの鐘】……?


 「それは、どういう」

 「手紙を読んだでしょう?それならすぐに分かるはずです」


 ウーファスはゆっくりと顔を上げ、私を見つめた。


 「誤解なさらないでください、お二人方。私は中立的立場故に味方はしませんし、タルタロスの一員としての敵対意識など(ウーヌス)ミッレもございません。ですが、助言くらいは致しましょう」


 やはり中立的な立場から手紙を寄越したのだろうか、何のつもりだろう。


 その言葉を受けて、プラエダントは更に怒りを露わにした。


 「どの口が言う!貴様はタルタロスの者だろうが!」

 「ええ、そうですが。タルタロスの者だからとて、私も軍の一員だと思わないことだと、そう言いましたが? プラエダント様」

 「っ……! なぜ、俺の名前を」

 「私はすべてを見通す者です。天使の情報を集めるなんて造作もございません。主戦力の天使なんてなおさら。申し訳ございませんが、どうか堪えてください。そして、良いものを私に見せてくださいね」


 それだけ言うと、硬直したプラエダントの横を通り過ぎ、「期待していますよ、天使様」と言い残して蛇の姿へ変貌し、部屋から出て行った。


 これが、レークレイの仕業なのか、本当にウーファスの思惑なのかどうかは定かではないが。

 良い報せとは言い難い。


 「くっ……」

 「ダント、悪いが」

 「いえ、フォルティエス様……。俺の部下に手を出されたと聞き、つい」

 「良いんだ。そう責めることは無い」

 「……」


 プラエダントは、自分を悔いて責めているように見えた。

 書斎を出ていく際、私に敬礼し、静かに扉をぱたりと閉めた。

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作者名:赤間 | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年5月18日 17時

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