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第一話 ページ1





 天界・シエロディーススにあるレオー・オリエンス城の書斎で、頭を抱えて書類を読む天使の姿があった。

 青き光を放つ天使、名をフォルティエスと言い、地上ではミカエルと呼ばれていた。


 私は、はぁ、と深い溜息を吐く。


 「ああ、レークレイ。お前はどうして……」


 ほんの数分前の事。ノークニックと言う天使が、手紙を抱えて書斎に走り込んできた。


 『なんだ。騒々しい』

 『天使長様!大変です!地獄の王、と言う名から手紙です!』

 『地獄の王、だと?』


 ノークニックから手紙を預かり、その場で素早く中を確認した。

 内容は、「地獄の底から這えずり出でて天界を奪い、あわよくば神をも超越し、真の神となる」とのことだった。

 そして、私宛に書かれていたこともある。

 「これはフォルティエスと言う、愛おしい兄者への宣戦布告だ。」と。


 そして今に至る、——レークレイ。

 私の実の弟であり、神への謀反を犯した元大天使、地獄の王。

 レークレイからの、果たし状と言える。


 先程からそう時が経たずして、また外が騒がしかった。「蛇だ!」「楽園から来たのかしら?」「おい!そっち行ったぞ!」そんな声が聞こえてきた、次の瞬間、扉がノックされ、私の返事を待たずして開かれた。


 「誰だ」


 入ってきたのは、天使ではなかった。

 黒い羽に光輪、美しいブロンドの髪に、赤い瞳。

 私は目の前のそれを知っていた、昔から。


 私の問いに反応を示すように、黒い羽をした天使は私を一瞥し、跪いた。


 「お久しぶりでございます。私はかの地獄、タルタロスより参りました、ウーファスと申します。天使長様」


 こいつは、赤い蛇と言われ、天使の中でも恐れられていた悪魔だ。

 レークレイが堕天した際に一緒に堕ちたはずだった。

 今ではタルタロスで仕えているというのか。


 突然、ダンッと扉が蹴破られるような勢いで音がした。

第二話→



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作者名:赤間 | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年5月18日 17時

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