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目を開けて、寝返りを打ちながら横を向くと




ベッドの下の布団が目に入った。









「信ちゃん…?」







布団は少し膨らんでいたけど、返事はなくて




多分、まだ寝ているんだろうと思った。



















『なんか…寂しいなぁ。』









寝ぼけていたのか、夢だったのか分からないけど



確かに、私は夜、信ちゃんの声でこの言葉を聞いた。









どうしたの?って声をかけたかった。




いつも堂々としてる信ちゃんの弱々しい声が悲しくて、慰めてあげたくなった。







でもそんな時まで、私は眠たくて仕方なくて




何もできずにただ目を閉じていた。









「…んー…っ



A〜…?」




もぞもぞと動きながら布団から顔を出す信ちゃん




私ははっ、としてベッドに座りなおした。








「おはよう」



「ん、おはよーさん」






あの後、




頬に感じた温もりは何だったんだろう。









じわり、って熱が伝わって



少しかさついた何かが触れた気がして







離れると、



ちゅ、と音がした。









優しくて


悲しい温もりだった。









「腹減ったか?」




「別に、そこまで。」




「そうか。



なら呼ばれるまでここに居ろうや。」









にひひ、って笑いながら信ちゃんはまた横になった。






「ねむー…」




「あんま寝れなかったの?」




「あー…


まぁ…。」





信ちゃんは目を逸らして、言葉を濁しながら鼻を啜った。









「ねぇ、信ちゃん。



昨日何時に寝た?」





「なんで?」








「寝ぼけてたのかもしれないけど



誰かに頭撫でられてね、『なんか寂しいなぁ』って言われた気がして…。」









頬に触れた『なにか』は



何か、言っちゃいけないような気がして言えなかった。









「……信ちゃん、じゃなかった?」




信ちゃんは何も言わなかった。




ただ天井を見つめてた。









「信ちゃん?」



















「寝る。」






「は?」







「おやすみ。」









朝日がさしているにもかかわらず、信ちゃんは布団にもぐりこんで







私が何を言っても、何も返してくれなかった。



















優しくて、悲しい温もり。




じわり、とつたわる熱。





ちゅ、と音を立てながら離れた『なにかは』








どこか懐かしい気がした。

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∞村上信五娘∞ - 可愛い!面白かった。 (2015年1月16日 10時) (レス) id: 7ad74dddfa (このIDを非表示/違反報告)
ミク(プロフ) - 錦倉栄華さん» コメントありがとうございます(*´ー`*)私も村上さんのお話をかけてよかったです!あの男らしい感じが好きなので…(笑)← 私も、また村上さんメインで書きたいと思っています♪これからおまけもあるので、よろしくお願いします(*´∀`)♪ (2014年3月20日 21時) (レス) id: adbefb6115 (このIDを非表示/違反報告)
錦倉栄華(プロフ) - 信ちゃんの小説少ないので、この小説に出逢えてよかったです! また、信ちゃんで書いてくれると嬉しいです! (2014年3月20日 20時) (レス) id: 939440697d (このIDを非表示/違反報告)
ミク(プロフ) - きっくさん» ありがとうございます(*´ー`*)きっくさんのコメント、いつも嬉しかったです! 切なくなってしまいましたがハッピーエンドということで!!← おまけもあるので、もう少しお付き合いよろしくお願いします(*´∀`)♪ (2014年3月19日 18時) (レス) id: adbefb6115 (このIDを非表示/違反報告)
きっく(プロフ) - うわ!うわ!もうー。(笑)ウルウルですよ私(笑) (2014年3月19日 18時) (レス) id: d8d74fe759 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミク | 作成日時:2014年1月8日 20時

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