kiss my heart . (ページ18)

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離れないでねページ18

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「同じ時間、Aちゃんのこと考えてたい。」

裕太くんのこの笑顔に絆されてしまう。

その偽りのない笑顔を見て信じられるって思った。

『. . . 飲み会行くのやめよっかな！』

「よろしい(笑)。」

裕太くんが安心した顔でまた池を眺めた。

『そうだ！記念に青い月を写メで撮っておこう。』

「おっいいじゃん。」

私はスマホを取り出して撮り始めた。

『裕太くんは？』

「俺のスマホは車の中でお留守番です。」

『ふふ(笑)。あとで送るね(笑)。』

「よろしく(笑). . . . . . 撮れた？見せて！」

裕太くんが私のスマホを覗きこんできた。

『こっちとこっち、どっちが良く撮れてる？』

「どっちも同じでしょ(笑)。」

『微妙に違うの！(笑)』

「はいはい(笑). . . こっちじゃない？」

スクロールする私の手にふと裕太くんが触れた。

『///』

「. . . . . . Aちゃんの手つめたい。」

『えっあっうん(汗). . . よく言われるんだ。』

「手が冷たい人って心があったかいんだよね。
Aちゃんはやっぱりあったかい人だ。」

『裕太くんだってあったかいよ？裕太くんの優しい
笑顔や優しい声優しい目見てるとあったかい。』

「あったかい？」

『うん。裕太くんのファンはみんなあったかい
気持ちになるよ？』

裕太くんは私の手から自分の手を離して見上げた。

『裕太くん？』

「どうしてかな。」

『どうしてって？』

「キスマイが出来ていつのまにか十年以上が過ぎて
今はお金もあるし望めば何でも容易く手に入る。」

『裕太く』

「贅沢だけどどこか虚しいんだ。」

月を見上げる裕太くんの目は悲しみをこらえて
いるように見えた…。

”贅沢だけどどこか虚しいんだ。”

普段あまり話さない裕太くんがポツリと話す言葉
にはすごく重みがあって切ないくらい心に響いた。

裕太くんの周りにはきっと何かとても大きな
苦しみが渦巻いていて…。

先輩たちと肩を並べるくらい売れてもこんなに
大勢のファンから想われていても

裕太くんはまだ…。

裕太くんは何を追い求めていて
本当は何と闘っているんだろうか……。

「ねぇAちゃん。」

裕太くんが優しい声で私を呼んだ。

「. . . . . . 離れないでね？」

私は…素直に頷いた。

頷いた私の髪を…裕太くんが指ですくって
耳にかけて。

優しい笑顔で…ほほえんだ……。

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