15 ページ15
消して欲しいと、何度願ったのだろう
羨ましいと、何度思ったのだろう
いなければと、何度望んだのだろう
数えれないほど望んだに違いない
だのに、今自分はここにいる
考えて、動いて、戦って、足を地面につけ、湯に入り、人のように眠る
「お前、外が嫌いなのか？」
『小烏は……要らないから、ここにいる』
「…？意味がわからないぞ」
小烏は今、蔵の中にいる
勿論、その中にいた刀剣男士、大典太光世もそこにいた
小烏は涙が出そうだった
悔しいのか、悲しいのか、嬉しいのか、切ないのか、やるせないのか
ありとあらゆる感情がごちゃごちゃになってどの感情から出た涙なのか全くわからない
『小烏ね……意味が無いの。御役目、出来なかった…』
『小烏、嫌だ』
『小烏、消えたいのに消えれない。いなくなりたいのに、いなくなれない』
まさに矛盾
役目を果たせないものに存在する価値はあるか
昔の価値観ではそんなものは要らないと捨てられる
だが、今はどうだろう
他に何かあるはず！と言うものが出てくるだろう
だが、小烏はこの時点でそれを諦めていた
生きることも、刀としてあり続けることも
『いいな、いいな。兄弟いいな…いいな、いいな……本歌って………』
最後は言わなかった、言えなかった
そう言ってしまえば自分のエゴになると考えたのだろう
「小烏…お前は……」
『小烏ね……とても…とっても……苦しい』
ポロッと口から落ちたその言葉は蔵にある闇に吸い込まれて行った
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 242人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
中原三日月(プロフ) - 源氏兄弟と写しの心境がとてもよく分かり素敵なお話で考えさせられます。更新頑張ってください！応援してます！ (2019年8月19日 17時) (
レス) id: f8510eae2e (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - とても素敵なお話で楽しく読ませて頂いてます!!髭切と暗めの話が好きな自分にどストライクの小説で更新されるたびにワクワクして読んでいます！これからも更新頑張ってください!! (2019年8月19日 17時) (レス) id: e0cbedd7f4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：自由陣 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/rekishilov1/
作成日時：2019年3月25日 16時
