5)太宰と織田作の想い人 ページ6
行きつけのバーに行けば、いつもの三人が揃う
「織田作、なんだか今日は機嫌良さそうだね?何か良いことあった?」
太宰が興味津々に聞いてくる
「そうか?・・・そうだな、良いことあった」
織田の頭に浮かぶのはハニーブロンドの少女の姿
「おぉ?もしかして女性かい?」
「そうだな」
「聞いたかい!?安吾!!織田作にとうとう春が来たよ!?」
「はいはい、そういう君も、ご執心だった女性はどうしたんですか」
「あぁ・・・愛しの桜姫ね・・・」
「太宰がご執心だった?」
「織田作さんは知りませんでしたか?太宰くんは桜の異能者の女性に惚れ込んで勧誘してたんですよ」
「へぇ・・・珍しいな」
「それがねぇ・・・」
ベターッとカウンターにうつ伏せになる太宰
「フラれたその後、出張の仕事に出てしまったらしくてねぇ・・・行方知れずなのさ」
「仕事なら仕方ないな」
「いくら調べても、行き先は分からないし、ハッキングしようとしたけど逆にウイルスは送られてしまうし、唯一の手掛かりだった携帯電話すら置いていく徹底ぶりには、さすがの私も感心してしまったよ、打つ手なし!」
「太宰くん、君は一体どんな女性に惚れ込んでいるんですか、絶対一般人じゃないですよね・・・それ・・・」
あの太宰が惚れ込んだ女性に、興味はあったが、今は彼女、Aの事で頭がいっぱいだった織田だった
ーーーーーーーーーーーーー
仕事が非番の日、織田は海岸線の道路にいた
そこは彼女と出会った場所
「織田さん」
「!」
声を掛けられ、顔を上げる
「夏目さん」
「こんにちは、お待たせしてしまったかしら」
「こんにちは。さっき来たところだ」
織田は小さな紙袋を差し出す
「これ、借りた布。助かった、ありがとう」
「ふふっ、お役に立てて良かったわ」
「お昼は食べたか?よかったら一緒にどうだろうか?」
「あら、いいの?」
「あぁ、美味いカレーの店なんだが」
一緒に歩き始める二人
何気無い会話、あまり喋る方ではない織田だが、不思議とAの前ではよく喋る自分に気付く
Aは聞き上手で、優しい、綺麗な微笑みを浮かべていた
いつもお世話になっている親父さんのお店、自由軒
彼女を連れてやって来ると少し驚かれた
「おや、織田作ちゃん、美人さんを連れてきて、彼女かい?」
「かっ!?違う、前助けてもらって、その礼に・・・」
慌てて訂正する織田に小さく笑うAだった
102人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:水琴 | 作成日時:2019年4月16日 7時