22）損失と利益 ページ7
「随分と壊されたものだね」
芥川の状況を報告する樋口。森は報告書をテーブルに上げる。
「どう思うかな？」
「・・・それはどちらに聞いてますか？」
「両方」
樋口は少し考え
「樋口一葉としては、彼の戦績、功績、そして異能の残虐性と畏怖はこのポートマフィアで必要と思われます」
「ほぉ・・・して、Aちゃんは？」
「数々の独断専行に呆れ返り、排除したいと考えます」
「あはは、君にそう言われてしまうとゾッとしてしまうよ、Aちゃん」
なんせ、君は
「芥川くんと比べ物にならないほど、残酷だからね・・・」
「そうでしょうか」
ケロッとした様子で、側に寄ってきたエリスの頭を撫でるA
「冗談はさておき、どうなさいますか？連中が彼を狙っているのは明らかです」
「君に任せるよ」
「・・・・・・・・面倒事の押し付けですか」
じとっと見れば、一緒になってエリスも同じ目で見ていた。
「違うからね！？君なら、損失を倍にして返せるだろう？期待しているよ、樋口くん」
「お望みのままに」
眼鏡の向こうで、赤い瞳が楽しげに光る
「・・・・・・・・・・・・・・・」
お手洗いに入っていた樋口。鏡を見た時、背後に銀が立ち、短刀を首に突きつけていた。
「・・・私を始末しますか？黒蜥蜴」
扉の方をみれば、広津と立原がいた
「今はない、だが明日はわからない」
銀は短刀を下げる
「警戒を促す・・・私が貴女の立場なら、暗殺者が枕元に来る前に身の振り方を考え直す」
広津に目を向ける
「命を狙うのは上ばかりとは限らぬ、首領直轄の遊撃隊の芥川君と貴女には我々武闘派組を直に動かす上司、だが我らを傅かせるのは権限ではなく、芥川君がもつ力への畏怖と崇敬・・・・樋口君」
「芥川君が動けぬ今、貴女に我らが従いたいと思わせる何かがあるか」
「・・・・・・・・・・・・」
樋口は何も言わなかった
黒蜥蜴が立ち去り、樋口は人気のない廊下へ。
「A幹部」
「今は樋口よ。何かしら、広津」
「・・・先程はご無礼を」
「律儀ねぇ、わざわざその為に来たの？」
「立場を理解なさってください。貴女が樋口くんを演じられていても、五大幹部のトップ、本来なら首は跳ねられているでしょう」
「私はそんな事しないわよ。でもありがとう、広津。貴方には助けられているもの」
「勿体無きお言葉」
「上手く動かして頂戴ね」
「お任せを」
一礼をする広津に背を向け、立ち去る樋口。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 122人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆか - 続きが気になります。更新頑張ってください。 (2019年3月14日 2時) (
レス) id: 1f8fc549d6 (このIDを非表示/違反報告)
暗白タクミ(朝霧夜宵)(プロフ) - あの…鏡花ちゃんの異能力は白雪夜叉ではなく夜叉白雪では？ (2019年3月7日 14時) (レス) id: f3ab0d9732 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 続編おめでとうございます^_^面白かったです^_^織田作が生きててくれて、嬉しかったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年3月7日 10時) (レス) id: 406c27ad01 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：水琴 | 作成日時：2019年2月23日 9時
