101)羽王戦争・怒りの理由 ページ5
「・・・・・・・・・ユキくんはね、優しいの」
『え゛』
声が揃う弟分達を気にせず続ける
「ユキくんは昔色々あったから、“同僚”“同胞”はいても、“家族”はいなかった」
「家族・・・」
「ユキくんは“家族”に対して凄くこだわっているの。天羽組のみんなが大好きだから」
だからこそ
「明確な理由もなく、自分の手が届かない所で大切な家族が狙われて、傷つけられて、殺されて・・・もう我慢の限界だったんだろうね」
Aは窓の外を見る
「・・・・兄貴、大丈夫でしょうか・・・大阪で暴れたり・・・・」
「それをさせない為ににぃ様が追いかけたんだよ。それに、今向こうには“あの人”がいるから」
「“あの人”?」
誰ですか?と首を傾げる弟分達に微笑み
「私達の“ねぇ様”だよ」
私に暫く外出禁止命令を出した、ね
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「ほんまにあのお転婆さんどうにかならんやろうか。報告聞く度にどんでもないお人を飼い始めたとか、拉 致監 禁されたとか、怪我をしたとか、挙げ句の果てに異能力の水を惜し気もなく使うとか、ほんまにあの子自分がその道の界隈で探されて狙われとる事をもう一度教えんとならんわぁ」
はふ、とたこ焼きを食べるプラチナブロンドの女性
「“お父様”、たこ焼き冷めましたで」
丁度良くなったたこ焼きを紙皿に乗せて三毛猫の前に置く
じとぉ、と見られたが、気にせず食べる女性
「不思議そうに見られていますよ、猫にたこ焼きをあげる美人さん」
「おや、言葉が上手やなぁ、華太」
「お久しぶりです、雪子姉さん」
ニッコリと笑う雪子に手招きされ、隣に腰かける華太
「それで、狂犬くんは?」
「今日開かれる会合に潜入するようです。今の所様子を見ると言ってました」
「きちんと抑えとってや?」
「わかってます・・・大嶽はどうするつもりでしょうか。話を聞けばずっと考え込んでいるとか」
「さぁ、極道もんの考える事はうちにはわからんなぁ。けど」
ペロッと指先についたソースを舐めとる
「せっかくうちの可愛い妹が掬い上げた命、無駄にするんはうちが許さんよ」
閉じられていた瞳が開き、濃い赤が覗いた
――――――――――――――――――――――――
関西の親分衆が集まる会合の会場
そこに三毛猫を抱えた雪子が平然と歩く
だけど、それを咎める人も、見る人もおらず、まるで見えていないかのようだった
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かな - メアリー、スーヒロイン? (4月10日 23時) (レス) id: 6ea7610922 (このIDを非表示/違反報告)
りー(プロフ) - 続き楽しみです! (4月1日 7時) (レス) id: 54a38d0a40 (このIDを非表示/違反報告)
青魔道士 - 宝石色の白虎の方も読みたいです! (3月1日 13時) (レス) id: 9d0898b86e (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 続きを楽しみにしてます! (2月8日 17時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 続編おめでとうございます (1月17日 8時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水琴 | 作成日時:2024年1月16日 23時