【ヒューマンバグ大学】狂人達に愛された食事処・参 (ページ14)

今日:32 hit、昨日:63 hit、合計:22,015 hit

110)“気に入らない”人② ページ14

佐古の疑問にAは

「佐古さん、私ね」

ニッコリと笑い

「あの人、何か“気に入らない”の」

―――――――――――――――――――――――――
事務所に戻った佐古はすぐにAの話を五十嵐達に報告した

それは入院中の一条にも伝えられる

「雛ちゃんが気に入らないって？」

「そうなんです、❲何か気に入らない❳と・・・凡人の俺にはよくわかりませんが、」

「へぇ、あの子はそんなに人を嫌う子じゃないのに・・・まぁ、わかる気がするな」

「え？一条の兄貴わかるんですか？」

「俺の考えが雛ちゃんと一緒ならな。話はわかった、ならこうしよう」

一条の指示のもと、襲撃に備えて対策が打たれた

――――――――――――――――――――――――――
店の台所に立つA

「恵方巻きか？」

背後から顔を出す設楽

「うん、節分だからね、はい、あーん」

恵方巻きの切れ端を口に入れられる

「君の知り合いの闇医者、氷室の所を戒炎が狙っているぞ」

その言葉に、ムッとするA

「・・・・・・・・・・・・・・」

Aの様子を見て、苦笑いする設楽

「本当に奴の事が嫌いなんだな」

「嫌いって、訳じゃ・・・・」

改めて聞かれると迷うA

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

設楽はソッとAの頭を撫でる

「(病から、生きる事から逃げた逃げた奴だからな)」

【白子症】
彼女の不思議な美しさはアルビノという病のせいだった

全身の眼皮膚白子症、皮膚癌の発症、視力の低下、免疫不全、様々な危険を抱えている

人とは違うハンデを抱えながらも、人の為に様々な事を考え、手を貸すA

「君は本当に強いな」

「？」

「恵方巻き、兄達に届けるんだろう？行こうか」

「うん」

――――――――――――――――――――――――――――
一条と氷室は床に横たわる榊原を見る

「・・・・俺の身近に病を抱えながら生きる女の子がいる」

「？」

「お前の胃ガン程ではないが、その子は生まれながらに病を抱え、太陽の光のせいで肌が爛れ、いずれ光を失う恐怖を抱え、あらゆる病のリスクを抱えながら生きている」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

一条はそれがAの事だとわかった

「その子はお前と違って生きる事を諦めていない。自分の病を理解し、病と付き合いながら、他者の為に様々な事をして生きている・・・そんな彼女だから、彼女の言葉には力がある」