8）お茶会 ページ10
織田を引き連れてやって来た紅葉の部屋。
そこには既に紅葉が席に座って待っていた。
「おや、織田も来たのか」
「ご迷惑でしたか？」
「何、茶会は人数が多い方が良い」
紅葉は席に促す。
「はい、約束のお菓子」
「おぉっ！嬉しいのぅ！早速使わせてもらおうぞ！」
部下に渡し、準備をさせる。
用意されていた紅茶のセットを珍しげに見るA。
「貴女が紅茶を選ぶなんて珍しいわね」
「お得意先から貰ったのだ。Aや、淹れておくれ」
「・・・・・だから私を誘ったのね・・・」
やれやれ、と呟きながらも慣れた手付きで準備を始める。
「Aさんは何でも出来ますね・・・」
「何でも知っている人の所で暮らしていたもの。嫌でも覚えるわよ」
新品のティーカップに琥珀色を注ぎ淹れる。
三人分をテーブルに置けば、同時に切り分けられたパウンドケーキが置かれた。
「これは、木の実か？」
「干した果物と胡桃とかで焼いたの」
フォークで口に運べば、程よい甘さが広がり、歯応えがあり、更に干し果物の甘さが広がる。
「美味じゃ！いくらでも食べれるのぅ！」
「うまい・・・」
「ふふっ、それはようございました」
三人で談笑していると、新たな客がやって来た。
「おや、お揃いだね」
やぁ、と手を振る首領に慌てて立ち上がる織田。
「あぁ、ここは紅葉くんのお茶会の場所だ、気にしなくていいよ」
「はっ」
「たっだいまー！Aー！｣
「お帰りなさいませ、リンタロウさん、エリス」
「あ！Aの洋菓子ね！？私の分は！？」
「取ってあるぞ、エリス嬢」
「さすがコウヨウね！」
「リンタロウさんも召し上がりますか」
「うん、頂こうかな」
森とエリスを交え、お茶会が再開され、あっという間に時間が過ぎていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「中原！異能の発動が遅い！！敵は待ってくれないぞ！」
「太宰！この程度でバテるな！始まってまだ十分もたってないぞ！」
次の日になれば、相変わらずの叱責の嵐が飛んでいた。
「・・・・俺、思ったんですけど」
「うむ？」
見学に来ていた紅葉は隣に座る織田を見る。
こうやって太宰たちをなじり倒すA
昨日の茶会で見せた優しい笑みのA
「Aさんは二重人格みたいです」
「ふむ・・・間違ってはおらんな・・・」
苦笑を浮かべる紅葉だった
織田は、あの二人もいつかAの優しい笑みを見る事が出来たらいいなっと思った
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作者名：水琴 | 作成日時：2019年2月15日 1時
