5）闇に咲いた白い花 ページ7
誰もが息を飲み、唖然とした
たかが専属医師の助手をする幼い少女に、これ程の力があると誰が思ったか
まだ幼い少女が、幹部を、それも五人全員を見る影もない状態にした
底知れない恐怖が、張り詰めた。
だけど
「さすが、Aちゃん。鮮やかな手捌きだったね」
これ程の惨劇を作り出しながら、当の本人にも、そして手合わせには似つかわしくない白い服にすらも、汚れ１つなかった
「・・・・・すごい・・・」
「あ、あぁ・・・すげぇ・・・・」
憧れを抱いた者
「(ポートマフィアが、変わる・・・本当に・・・？)」
期待を抱いた者
「さて、如何だったかな？」
周りを見る森。
だけど、先程までのざわめきはもうなかった。
「どうやら、異論はないようだね」
満足げに笑みを浮かべた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「酷いよ、森さん」
「え？」
ムスッとする太宰。
「Aさんがこんなに強いなんて、知らなかった」
「そりゃぁ、知られないようにしていたからね」
ね？と森がAに問いかける。
「えぇ、〔油断を招け〕との事だったので」
「演技だったんだね・・・全然分からなかった」
「さすがの太宰くんでも、Aちゃんには敵わないようだね」
「なぁ！Aさん！さっきの異能だよな！？」
中原が興味津々で聞いてくる。
「まぁまぁ、落ち着いて、中原くん。そんなに急がなくても、これからいくらでも見られるから。太宰くんもね」
「「え？」」
森はにっこりと笑い
「今日から、君達の教育係はAちゃんがやる事になったのだよ」
太宰も、中原も、大きく目を見開いた。
「「本当に！？」」
「どうだい？紅葉くん」
「・・・あれほどの実力を見せられて、拒否する理由はない・・・」
ちらっと伺うようにAを見る紅葉。
Aはそれに気付き、こてんっと首を傾げた。
「何？」
「その、だな・・・妾は、まだまだ実力不足なのだ・・・そのせいで、彼の人を死なせてしまった・・・・もう、あんな思いはしとうない・・・だから・・・・」
ぐっと拳を握り締める。
「・・・・リンタロウさん」
「なんだい？」
「私の役職は何になりますか」
「もちろん五大幹部だよ。全員始末しちゃったからね。新しく選ばないと」
「幹部には補佐を一人、自由に選べるそうですね」
「うん、そうだよ」
「それじゃぁ」
Aは、そっと手を差し伸べた・・・
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作者名：水琴 | 作成日時：2019年2月15日 1時
