2)幼い双黒と助手の少女 ページ4
ヨコハマにあるポートマフィアのアジトビル。
「知っているかい?中也」
包帯を巻いた黒髪の少年。
「んだよ」
ぶっきらぼうに、面倒そうに目を向ける黒い帽子を被った少年。
「このアジトに私達と同じぐらいの年齢の女の子がいるらしいよ」
「女ぁ?」
脳裏に浮かんだのは、ポートマフィアの専属医の傍らにいる赤いワンピースを纏っている少女。
「言っとくけど、エリス嬢じゃないからね」
「太宰、手前ここがどこかわかってんのかよ。マフィアだぞ。同じぐらいの年の奴がいたらすぐわかるだろうが」
「あくまでも噂だよ」
その後、二人は訓練を始めるが、からかう太宰に火をつけた中原がキレる。
「君達ねぇ・・・」
呆れたように二人の手当てをする森。
ぷぃっと顔を反らす二人。
「仲良くしろとは言わないけど、たまには喧嘩しない「「無理です」」・・・・はぁ」
即答の二人に深いため息が出る。
それでも手当てする手は止めない辺りはさすが医者である。
手当てが終わり、片付けをしていた森は思い出したように声を出した。
「そうだ、君達にはまだ紹介してなかったね」
「「?」」
「Aちゃん、Aちゃん、ちょっといいかい?」
カーテンから開けながら声を掛けた。
「はい・・・?」
少女の声。太宰と中原は顔を見合わせた。
カーテンを開けた先には、カルテなどを収納する棚の前に、ハニーブロンドの少女がカルテを持って立っていた。
少女は持っていたカルテを棚にしまい、森の隣に立つ。
自分達と同年代ぐらいで、黒のエプロンドレスを纏い、ハニーブロンドの頭にはナースキャップ。
「・・・・・・・森さん・・・幼女誘拐は駄目ですよ」
「誘拐!!?違うよ!?この子はAちゃん!知り合いから頼まれて預かった子で、ここで私の助手をしてもらってるんだよ!!」
「だからって、普通マフィアのアジトに連れてくるか・・・?」
疑いの眼差し。
「酷いよ君達!?ねぇ!Aちゃん!!」
「自業自得かと」
「Aちゃんまで!!?」
「冗談です」
ふふっと笑うAは太宰と中原を見る。
「初めまして、夏目 Aと言います。太宰 治さんと中原 中也さん、ですよね。森さんからお話は聞いてます」
赤い、宝石のような瞳に二人が映る。
これが、後に双黒と呼ばれる二人と、そんな二人を作り出した雪桜の魔女と呼ばれた少女との出会い・・・・
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作者名:水琴 | 作成日時:2019年2月15日 1時