15）黒の時代�� ページ17
「師匠のメモによると、ここだね」
太宰と織田は港のコンテナ倉庫にいた。
「確か、協力者が来るんだったな」
「そろそろ来るはずだよ」
織田は車の中で眠る子供達を見て、海を見る。
「・・・・Aさんは・・・大丈夫だろうか・・・」
「・・・普通なら、逃走した私達の手助けをしたとして処罰の対象だ・・・だけど、師匠は五大幹部随一の実力者・・・減給か、謹慎程度で済むはずだよ。首領もあの人には激甘だしね」
「ミミックの事もある」
「その心配には及びませんよ」
「「！！」」
聞き覚えのある声と共に、倉庫の扉が開かれる。
「ミミックの鎮圧には夏目幹部自ら赴き、成功したと報告がありましたから」
「あ」
「「安吾！？」」
眼鏡をかけた男、スパイであり、異能特務課の職員である坂口安吾が立っていた。
「こちらに。車も入れてください。説明します」
コンテナの中に入り、扉を閉めてから、明かりをつけた。
「子供達もご無事なようで何よりです」
「師匠が言っていた協力者って、君かい？」
「えぇ、そうですよ」
坂口は眼鏡を上げる。
「あの方は僕がポートマフィアに入った時から、スパイであると気づいてましたから」
「！！」
「・・・恐らく、夏目幹部は今の現状になる事を既に予測していたと思います・・・だから僕を見逃した・・・」
「・・・・師匠・・・やっぱり凄い・・・」
「Aさんは、無事なのか・・・」
「・・・怪我はしていないとの事です。ご安心を」
「ならよかった」
「あれ・・・鎮圧？殲滅じゃなくて？」
「えぇ、初めから殲滅する気などなかったようですよ」
「・・・なるほど・・・利益か・・・」
「・・・・本当・・・末恐ろしい方ですよ・・・彼女は」
さて、と坂口は一つのコンテナを見る。
「これから貴方方をこのコンテナで安全な場所まで運びます」
「コンテナごとかい？」
「このコンテナは夏目幹部が用意しました。何でも、知り合いの異能者に〔疑われないように魔法をかけてもらった〕と仰ってました」
「そんな異能があるの・・・？」
「Aさんが言うならそうなんだろう」
「とにかく、子供達も運んで行きますよ。車は捨てて下さいね」
「あぁ、わかった」
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全てが終わった翌日、Aは一人、首領室へ訪れた。
「ご苦労様、Aちゃん」
「・・・・・・・・・」
暗い、感情が読み取れない笑みを浮かべた森を真っ直ぐ見つめるA
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作者名：水琴 | 作成日時：2019年2月15日 1時
