13）黒の時代�� ページ15
最後の命令を告げた数時間後、Aはポートマフィア首領と異能特務課長官との密談の場所にいた。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
森の後ろに静かに控えながら、話を聞く。
想像通りの要求。腹の探り合い。見えないナイフを突き付け合うような空気。
そして、テーブルに置かれた黒い封筒・・・
それを見たAは外套のポケットに入れた懐中時計の蓋を開け、パチンッと閉めた。
「首領、そろそろお時間です」
「おや、もうそんな時間かい？」
立ち上がる森。
Aはチラッと坂口を見た。
坂口は真剣な表情で彼女を見ていた。
「うちの若いもんを脅してくれるなよ、夏目のお嬢さん」
「あら、脅しているように見えたかしら」
失礼しました、とわざとらしい程丁寧に一礼して、森と立ち去った。
会合終了後、Aはすぐにある場所へ一人で向かった。
「・・・・・・・・・・・・」
目の前に現れた古びた洋館。
「さて・・・可愛い部下の為だ、久し振りに本気で行こうか」
扉を蹴り破った瞬間、銃弾の嵐が飛んでくるが、Aは迷いなく飛び込んだ。
「異能力【闇桜】」
ブワァッ！と無数の花びらが舞う。
コツンッと足音を立て、足を踏み入れたのは舞踏室。
そこに、銀髪の彼はいた。
「貴君は・・・？サクノスケはどうした」
「作之助はここに来ないわ。だから私が来た」
ハニーブロンドの髪を揺らし、笑みを浮かべる。
「ポートマフィア、五大幹部、夏目 A・・・織田 作之助の上司にあたる者よ」
「随分と幼い上司だ・・・サクノスケは何処だ、貴君が同胞に勝てたとしても、奴でなければ乃公には勝てん」
「それじゃあ試してみましょうか」
赤い、宝石のような瞳が光る。
その手には砂時計があった。
「これから五分、私の相手をしなさい、アンドレ・ジイド。私の体にその銃弾を撃ち込めたら作之助の居場所を教えてあげる」
「何を言って・・・」
「けど、それが出来なかったら、私の言う事を聞いて貰うわ」
「大した自信だ・・・いいだろう」
ジイドは銃を抜く。
Aは笑みを深める。
「・・・・久し振りに本気を出すんだ・・・せめて“五分”は持ってちょうだい」
出された手に浮かぶのは、花びらではなく、キラキラ光るもの
「異能力【空蝉】」
冷たい白い煙が立ち込める。
その時、ジイドの脳裏に過った光景
“天井から落ちてくる氷に貫かれる己”
「【氷の雨】」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 160人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：水琴 | 作成日時：2019年2月15日 1時
