12）黒の時代�� ページ14
「な、何を言ってるんですか、師匠。冗談は・・・」
「私が冗談でこんな事言うと思う？」
「・・・・なぜです・・・Aさん・・・」
驚きを隠せない二人。
「・・・理由は、この騒動でわかるはずだわ」
「Aさん、俺は好きで貴女の部下で用心棒をしてるんです。それに俺は人を殺さない」
「養い子たちに手を出されても？」
「っ・・・そ、それは・・・」
息を飲む織田。
「・・・私が気付かなかったら、今頃ここはどうなっていたと思う・・・？」
「どう、なって・・・」
最悪の状況が脳裏を過った。
「作之助・・・貴方は、貴方一人の命じゃない・・・貴方には、背負わなくてはいけない命がある・・・それは貴方の弱点でもある・・・貴方一人なら、誰にも負けないでしょうけどね」
「・・・・すみません・・・そこまで、考えていませんでした・・・」
「作之助、私は貴方に生きて、貴方の夢を叶えて欲しい・・・だから、今、ここで告げるの・・・」
Aは太宰を見る。
「・・・私が・・・辞めるのは・・・」
「作之助と、子供達を守りなさい」
真っ直ぐ、目を見る。
「私は私が教える事が出来る事全てを貴方に叩き込んだ・・・善悪など紙一重、貴方はどちらにでもなれる・・・なら、人を救う側になった方が素敵でしょう？」
今まで見た事がない程、優しい眼差し。
「・・・貴方の上司として、最後の命令よ」
「友達を守りなさい、治。これは貴方にしか出来ない事よ」
「師匠・・・」
太宰は目を閉じ、考え、決める。
「・・・わかりました・・・織田作も、子供達も、守るよ・・・約束する・・・」
その答えに、Aは笑みを浮かべた。
「これから首領は異能特務課との会合でアジトからいなくなるから勘づかれにくいはず」
「だが、ミミックは？奴等は俺を追って来るのでは」
「それに関しては私に任せて。手はあるから」
すっと１枚のメモ紙を渡す。
「夜この場所に協力者がくる事になっているわ。後は彼に従って。子供達の事もお願いしたから何とかなるはずよ」
「準備がいい・・・師匠、もしかして初めからそのつもりで・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
彼女はただ、にっこりと笑うだけだった。
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作者名：水琴 | 作成日時：2019年2月15日 1時
