プロローグ ページ2
目の前に広がる赤
壁や床だけではなく、天井にまで広がっていた。
「・・・・・お父さん・・・・?・・・お母さん・・・・?」
所々に散らばった赤い塊に混じった布の切れ端と、赤く染まった壊れた装飾品が
私にそれが、今探している人たちだと語る。
「子供にそれは酷だぞ」
視界を覆った黒。
ゆっくりと振り替えれば、見覚えのある人がいた。
「そう・・・・せ、き・・・さん・・・・おとう、さんが・・・・・」
「あぁ・・・・すまない・・・・間に合わず・・・・」
彼は私を抱き締めていた。
聞こえてきた複数の足音。
それは彼にも聞こえていたらしく、視界を遮っていた布で私をくるみ、抱き上げた。
「Aよ、ここを離れるぞ」
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家を出て、気がついたら大分離れた所にいた。
「さて・・・Aよ」
「・・・・はい・・・・」
地面に下ろされ、目線を合わせるように膝つく。
「これからどうしたい」
「・・・・どう、したい・・・・?」
ゆっくりと頷く。
「孤児院へ行くもよし、儂の知り合いのもとで成人するまで生活するのもよし、お前の片割れのいる組織に行くのも手だろう。お前の希望に沿おう」
「・・・・・そうせきさん・・・きっと、私は普通に生活なんて・・・・」
「・・・・・そうか・・・そうであったな」
しばらく考え、「うむ」と頷く。
「では、儂と共に行くか」
差し出された手を見て、彼の顔を見上げる。
「お前が望む場所が見つかるまで、儂と共に行こう、A」
どうだ?と小さく笑う。
「・・・・・・・・・・・・うん」
私はその手を握った。
「よろしくお願いします・・・漱石さん」
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作者名:水琴 | 作成日時:2019年2月15日 1時