【文豪ストレイドッグス】宝石色の白虎

23）連れ拐われた仲間 ページ25

「Aが、拐われただと？」

「っはい」

忙しく動く探偵社に駆け込んだ息を切らせた谷崎

「よりによって今か・・・省庁幕僚の護衛依頼のせいで社は下から上への大騒ぎだ。捜索に割ける人手がない」

険しい表情をする国木田

「Aの行方は掴めているのか？」

「目撃者によると、白昼の路上で襲われて、貨物自動車に押し込まれ・・・その後の行方は杳として・・・」

「まずいな・・・奴等は独自の密輸ルートを無数に持っている。人一人、誰の目にも触れずに運ぶ位造作もない」

「何とかして助けないと、このままでは・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

Aを助ける助けないで議論が割れる様子を見つめるナオミは立ち上がり、扉をノックする

中を覗けば、聞こえていたらしい彼が立ち上がる
それにナオミは笑顔を浮かべる

「あのぉー」

『？』

「殿方の大好きな“筋”とか“べき”とかを百年議論して決めても良いのですけど」

みんなナオミを見る

「代わりにこの方は如何？」

『社長！！？』

ナオミの隣に立つ福沢の姿に全員が姿勢を正した

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地下牢に囚われている太宰

「・・・・頃合いかな・・・」

「相変わらず悪巧みかァ！？太宰！」

「その声は・・・」

目を向ければ、階段から降りてくる一人の男

「こりゃ最高の眺めだ、百億の名画にも優るぜ」

マフィア幹部 中原 中也

「最悪、うわっ最悪」

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福沢の指示でAの捜索に動く探偵社

「国木田、何かわかった？」

乱歩がホワイトボードの前に立つ

「貨物自動車の所有はカルマ・トランジットという組織までは」

写真を受け取り、書類を読んでいく

「乱歩さん、珍しくやる気だネェ？」

不思議そうな与謝野
乱歩は眼鏡を取り出し

「Aには色々教えるって約束したからね。まだまだ教えていないお菓子がたくさんあるから連れていかれたら困るでしょ！異能力【超推理】」

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壁に叩きつけられる太宰
中原は太宰の首を掴み、ナイフを突きつける

「わざと捕まったのは何故だ。獄舎で何を待っていた」

「・・・・・・・・一番はみやちゃんについてだ」

「みや？」

「君達がご執心の人虎だ、彼女の為に70億の賞典をかけた御大尽が誰なのか知りたくてね」

「身を危険に晒してまで？泣ける話じゃねぇか」

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