【文スト】そうして私はそれを孕んだまま墓で眠るのだ。

不穏な空気 ページ8

Aside


午後12時半頃

(いつもと違う少し遠い駄菓子屋へ行ったため少し遅くなってしまった…)

『ただいま戻りました…。』

今日も相変わらずこの職場はカオスだと思う。

パソコンに向かってバリバリと働く国木田さんに普通に流れ良く仕事をこなしている様子の谷崎さんや与謝野さん。そしてテレビを見ながら駄菓子を頬張る江戸川さん。

統一感がないところが探偵社らしいと言えばそうだけれども。

なんてことを思いながら買ったものの確認をする。

バンッ！！

敦「与謝野さんっ！！！！」

勢いよく扉が開くと顔を真っ青にして焦っている様子の中島さんが立っていた。

敦「太宰さんがっっ！！！！！！！」

中島さんの後ろには顔をしかめながら笑っているボロボロの太宰さんが中島さんに背負われていた。

「「「「？！」」」」

いつも無傷と言っても過言ではない太宰さんの辛そうな表情に場が騒然とする。

与「敦っそのまま医務室へ運んでくれっ！！」

三人は医務室へと駆け込んで行った。

当然緊迫した雰囲気に包み込まれる。ヒヤリとする空気に自分に関係は無くても不安感が襲う。

それから少し経って、まだ昼食も済ませていなくてお腹が空いているというのに抜け出せていないことに溜息が出る。心の中で。
今ほんとに溜息ついたら殺 される。空気に。

気になって遠くから耳を澄まして聞いてみるとどうやらさっきの任務で右腕を持っていかれたらしい。
中島さんも切られたけれど自身の異能力で治癒したとか。

そして太宰さんの腕を治そうにも太宰さんには異能力が使えないため不可能。
つまり完全に腕を一本失ってしまったということらしい。

中島さんが号泣しながら太宰さんに謝っている。

でもきっと、中島さんが原因の全てではないことはこの場にいる誰もが分かるであろう。

そもそも今日の任務というのが『肢体窃盗犯』の駆除だったというではないか。


(肢体窃盗…そんなものが…。)

本当にそんな集団がいたのなら黙ってはいられないというのが本心なのだが…。

(ここまできて話になっているのならポートマフィアの方でも何かしらの動きがあるはず…。)


「…。」

探偵社内がざわざわと話し合いの渦になっている中、
こちらをじっと観察する目があったことにその時の私は気づくことができなかった。

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