【まふまふ】今日から嫁を本気でオトします

オトされません。 ページ18

でも、次の土曜日は…







ちらりと手帳を見やると、黄色のペンで囲まれたその日付。




『黄色はA好きな色だから、特別な日の印にしよう』




結婚当初、旦那さんに言われた言葉を思い出した。

もう、旦那さんはこんなこと覚えていないんだろうけど…。





毎年祝おうねって約束したのに、ここ数年そのワードさえ出なかった。

食事に誘っても、未結のことで頭いっぱいらしかったし。








今年は、気づいてくれるのかな…。




｢…………A？


もしかして、土曜日…無理？｣



｢えっ｣



遥香が眉を下げて悲しそうな瞳で私に視線をむける。

うっ………




もう一度手帳に目を落とす。

………この日は大切な、結婚記念日だ。







でも、旦那さんはきっとそんなこと覚えてない…よね。


いつも何か言ってくれるまで待ってたんだけど、気づく素振りも見せなかったし…。

今年こそは…なんて期待しても無駄…かな。









それで虚しい気持ちのまま家にいるより、コンサートに行って友達と楽しむ方が…きっと何百倍もいい。



……どうせ、気づいてくれないんだから。



そう思って黒のボールペンで黄色の印の上に大きくバツを載せた。




｢ううん、大丈夫だよ。

コンサート、一緒に行く｣




｢ほんと！！

よかったぁ、本当は1人で行くのちょっと怖かったんだ〜｣






じゃあ、詳細はメッセージで送るから！と目の前で遥香は楽しそうにしている。

うん、こっちの方が絶対いい。







家で悲しい気持ちになるより、友達と楽しく過ごそう。



手帳の日付の下に『遥香とコンサート』という予定を記入して、

パタンと手帳を閉じた。









ころり、とペンケースに入っていた黄色のペンが転がり落ちた。

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