異国の地で運命に巡り合えた話

#8 ページ8

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『ーーユウキ！』


「ーーっ、！！」




イタリアに来て1ヶ月

お客様扱いの俺もようやく試合に出れたりするようになった

そして、試合終わりには子供たちをはじめとする人に囲まれる




ユウキ、ユウキって

少しずつ、俺の力を見てくれるようになってきた






「…あれ？」



そんな試合が続く日々にもオフはある

しかし観光…って気分にはならず、寝て起きてまた寝るような生活ばかり

マサさんには"なめくじだな、お前"とまで言われた

…否定できない。

それでもご飯を食べなきゃ、と外に出れば生憎の雨

うわぁ…と思っていれば、おーい！とどこからか呼ばれた


…あ、Aちゃんだ



Aどこか行くの?車出そうか?




「え、まじか」




祐希ご飯食べに行こうかなって

A私のクルマでよかったらおいでー!





ラッキーとか思いながら彼女のクルマへと走っていく





「タオル使って？何食べたい？」

「ありがと。んー…手料理！笑」

「却下します」

「なんで？」

「そんな関係じゃないから」

「えっ？」

「この前は風邪だから作ったけど。そういうのは恋人にしてもらいな？」




何回も言って、何回も断られている

どうやらAちゃんは彼女とか彼女じゃないとか、そういう形にこだわるらしい

俺はただ人の作った温かいものがたべたいだけなのに





「…じゃあ美味しいとこ連れて行って」

「はーい」




縮まらない俺と彼女の距離





「…美味いね」

「でしょ？私ここ大好きなの笑」




手料理以外はこんなに明るく話をしてくれるんだけどな




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