身長差0の甘酸っぱい夫婦の話

怖い再会 ページ22

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「ーーふぅ」

狩野「お待たせ。…大丈夫？」

「はい！…やっぱりちょっと、待ってください」



リハビリから2ヶ月

徐々に左肩の調子が戻り、日常で1人で出来ることが増えてきた

季節はもう冬。

久しぶりに感じる12月の東京は寒く、私も舞子さんもだいぶ厚着をしていた




"Vリーグ 東レアローズVS久光製薬"



私がもしかしたら立つかもしれなかった舞台

真佑と、もう一度同じユニフォームを着て…なんて夢は夢で終わった



1人で見る自信がなかった私は、こうやって舞子さんにお願いして同伴してもらった

…イタリアへ行く前に、私は見るべきだと思って。





狩野「凄いねぇ、熱気が」

「暑くなりそうですね」

狩野「脱ぐ？手伝うよ」

「…すみません、お願いします」

狩野「なーにそんな顔して！笑 さぁ見るよ！始まるから」





沢山のサポーターの熱気に包まれて始まった試合

私は真佑から目を離さなかった


…一回りも、二回りも大きくなった彼女をずっと見ていた




狩野「…凄いね。真佑ちゃん」

「……」

狩野「…聞こえてない笑」




サーブも、スパイクも、そのスパイクの打ち分け方も。

全て目に焼き付けるように魅入っていた




連戦連勝の久光製薬

新しい代表の選手も多く所属するそんなチームをフルセットで倒した東レアローズ

コート上では黒後愛と石川真佑の2人がめちゃくちゃにされていた




「…えっ？」

狩野「あれ？知ってたの？」

「いや、言ってませんよ？」




輪から1人抜け出した真佑は、観客席にいる私に向かってVサインを出した

いくら小さい体育館とはいえ、コートからは距離もある。

何故わかったんだろう…




真佑「(い、っ、て、らっ、しゃ、い)」




確かにそう言った彼女の口。

そんな真佑を不思議そうに見つめる愛




黒後「…？…！！」



「「ーーお疲れ様でしたぁ！！」」




顔を見合わせた2人が私に向かってそう叫んだ

歓声に包まれていた会場も久光製薬側も何事？となり、2人のせいで私と狩野さんの存在が伝わっていった

そして私に気づいた選手たちが次々と手を振ってくれた




狩野「…よかったね」

「はいっ……」

狩野「イタリア、気をつけてね？私も遊びに行くから」

「はいっ……」

狩野「…寂しくなるなぁ笑」





祐希気をつけて来てね。待ってるから




ーーもうすぐ、会えるんだ。祐希に

何一つ悔いを残すことなく、私はイタリアへと旅立った





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