アイドル辞めて、俳優になりました

過去を語るには時間がかかった ページ28

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ーー2009年。





「あっ…！！坂本くん！！お疲れ様です！！」



事務所内を歩いて目的地を目指していると、目の前から
憧れてるV6坂本くんがこっちに向かってきていた



「おー、元気か？」

「はい！！」

「そーか。また飯行こうな」

「はい！」

「…うっせーよ笑」




怖そうに見えて、実は優しい坂本くん

舞台だとかでご一緒に出演させてもらって

多分、名前も覚えてくれてるはず笑



"お前は声が良い。あとダンスも。だから人一倍努力しろ
したら誰もお前に敵わなくなる"



純粋な中学生だった俺はその言葉通りがむしゃらに頑張った

頑張って、坂本くんみたいになりたいって。





「ーーセンター、矢狩」

「…え、っ？」

「矢狩？矢狩いるかー？」

「は、はい！！」

「居た。お前ココ」





名だたる先輩ジュニアを差し置いて、センターで歌を歌う


有り難い事に、瞬く間にファンが増えて
ポスト 仁亀と呼ばれ始めた


恐れ多い立ち位置に、俺は必死に頑張った

レッスンも時間の限り参加して、自己管理も徹底して。





「最近すげーな、お前」



念願の坂本くんとのご飯。

仕事の話を熱く語る坂本くんに耳を傾けて、ひたすら勉強する

…次の日、坂本くんは覚えてないらしいけど。



それでも、夢に見た場所に立てて俺は幸せだった




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