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「だから、私ももうみんなのところに行きたい。」

子どもなのに未来を信じてないような、そんな感じ。

「させない。そんなこと、私がさせない。

あなたに何があったのか私には分からないけど、少なくとも私の前では死なせない。」

無理やりその女の子の手を取って立ち上がらせる。

「あなたがまだ見たことのない外の世界には、面白いものがたくさんある。

それを見ないまま人生を終わらせるなんて勿体ないから。」

「…でも、」

「私は警察だよ?信じて。」

瞳が揺れた。

両親がいない、家族がいない。

私と境遇の似た彼女だから余計にほっとける訳なかった。

「あなた、名前は?」

「お、お咲…」

「え、」

そんな偶然があるのか、面白いな。

私はお咲と名乗ったその少女の頭を撫でた。

「行こう、お咲ちゃん。」

「…うん。」

小さな手が私の手をしっかりと握った。部屋を出て階段に向かって走り出す。

するとまたどこかで爆発が起きたようで床が揺れた。

そして私とお咲ちゃんとの間を引き裂くように落ちてきたのは瓦礫。

「え、お、お姉ちゃん!!」

「お咲ちゃん、怪我無い?!」

「うん、だけどお姉ちゃんが、」

私は地下室側、お咲ちゃんは外に続く方の道で遮断されてしまった。

ということは、彼女は助かるということ。

瓦礫の隙間からお咲ちゃんの顔が見える。

「お咲ちゃん、これ。」

私は兄様から貰った髪留めを外し、隙間から手を入れてお咲ちゃんに渡した。

「これを持ってたら必ず助かるから。」

あれを持ってたら兄様が守ってくれるような、そんな気がする。

「ひたすら上に向かって走って。

銀色の髪をした人が、必ずあなたを救ってくれる。」

「でも、お姉ちゃんが、」

「私なら大丈夫。ね?早く行きなさい。」

一瞬悲しそうな顔を見せたけどお咲ちゃんは走って行った。

これでいい、これで。

また爆発音が聞こえてきたけど、今回は運が悪いことに地下での爆発らしい。

「あー、これ終わったな。」

最期の場所がこんな薄暗いところで、しかも独りだなんて






「笑えないなぁ…」



最期に一度、彼の笑顔が見たかった。

好きな女はお互いに→←小さな命たち



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まる - めちゃくちゃ面白いですね…!!話が進むごとにどんどん引き込まれるすごい作品だと思います!応援してますので更新頑張ってください*\(^o^)/* (2020年2月10日 0時) (レス) id: c860e44573 (このIDを非表示/違反報告)
のん@天使から墮天使(プロフ) - むっちゃ良かった!今の彼女なんてどうでもいいから(良くない)早く記憶が戻れぇぇ〜!! (2019年9月4日 19時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
日光ガール - これ、飽きないで見れる!めっちゃ面白い!頑張って下さい! (2019年7月21日 12時) (レス) id: a78f49a2eb (このIDを非表示/違反報告)
亜水 - 起きたは壁にもたれかかりになってますよ。-頑張って下さいね! (2019年7月14日 17時) (レス) id: 9d2ec575ec (このIDを非表示/違反報告)
亜水 - 見ましたよ。やっぱりずっと見ていて思うのですがとても面白いです!話に引き込まれます!更新頑張って下さいね。 (2019年7月14日 1時) (レス) id: 9d2ec575ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:巫女@桜 | 作成日時:2019年7月12日 21時

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