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銀時の口から語られたそれはあまりにも残酷で、藤原の悪行がどれだけ許されないものなのか、そしてあいつはどうにかしなければいけない男なんだと再確認した。
そして同時に、胸が焼けるように痛い。
自分がされたこと、そしてそれ以上に銀時が感じた痛み。
一度にそれを感じて私がそんな立場じゃないのに、泣きそうになって。
慌てて綺麗な月を見上げるフリして涙を堪えた。
「…この綺麗な月も、今日ばかりは消しちまいたくなるな。」
「そうですね、本当。」
何もかける言葉が見当たらないで、銀時の発するものにただ返事をする。
ちらりと横目で銀時を見やると、彼も同じく月を見上げていた。
赤い瞳が月明かりにきらりと光る。
彼は一体何を考えているのだろうか。
人の心にはどこまでも土足で踏み込んでいくのに、自分の心には人を寄せ付けない不器用な人。
いつの間にか守るものが大きくなりすぎて、自分が押しつぶされることにも気づかない。
だから限界が来たときにぱたりと消えてしまいそうで怖かった。
「万事屋さん。」
「んあ?」
「夢香さん、絶対助けますからね。」
「…そう、だな。お前も早く寝ろよー?」
銀時は立ち上がり、ひらひらと手を振って自室に戻っていった。
まだ、もう少し一緒にいたい、だなんてそんな言葉私に言えるはずもなく、また言う資格もないので私はその広い背中をじっと見ることしかできなかった。
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まる - めちゃくちゃ面白いですね…!!話が進むごとにどんどん引き込まれるすごい作品だと思います!応援してますので更新頑張ってください*\(^o^)/* (2020年2月10日 0時) (レス) id: c860e44573 (このIDを非表示/違反報告)
のん@天使から墮天使(プロフ) - むっちゃ良かった!今の彼女なんてどうでもいいから(良くない)早く記憶が戻れぇぇ〜!! (2019年9月4日 19時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
日光ガール - これ、飽きないで見れる!めっちゃ面白い!頑張って下さい! (2019年7月21日 12時) (レス) id: a78f49a2eb (このIDを非表示/違反報告)
亜水 - 起きたは壁にもたれかかりになってますよ。-頑張って下さいね! (2019年7月14日 17時) (レス) id: 9d2ec575ec (このIDを非表示/違反報告)
亜水 - 見ましたよ。やっぱりずっと見ていて思うのですがとても面白いです!話に引き込まれます!更新頑張って下さいね。 (2019年7月14日 1時) (レス) id: 9d2ec575ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:巫女@桜 | 作成日時:2019年7月12日 21時