[銀魂]覚えていてね。[坂田銀時]

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「ーはぁっ、はぁ、…」

走って、走って着いたのは万事屋。

もう希望なんて見えやしないけど、ほんの僅かな可能性くらいは信じさせてよね。

“ピンポーン”

インターホンを押して、しばらくすると『はーい。』という男の子の声。

“ガラッ”

「こ、こんにちわ」

「どちら様ですか？」

「依頼なら喜んで受けるヨ！」

やっぱりこの二人も私は覚えてないよね。

涙がでそうになるのをなんとかこらえて、私は少し微笑む。

「ここに、ぎん…坂田さん、いる？」

なんて他人行儀な呼び方だろう。

まあ、出会った頃はそうやって呼んでいたんだけど。

「銀さん、ですか？」

「奥にいるネ。着いてくるヨロシ」

神楽ちゃんの後ろに付いて歩いて行く。

「銀ちゃーん、お客さんネ」

「ーーあ？俺に？」

ああ、ずっと聞きたかった声。

安心できる声、大好きな人。

「ぎんと、」

「あんた、誰？」


ーー分かっていた、分かっていたはずなのに。

何で私の目からは涙が溢れるの？

「は、ちょ、なんで？！」

「新八ィー、銀ちゃんが女泣かせたヨ」

「ちょ、何してんスか銀さん！！」

「だ、大丈夫です…すいません」

目元の涙を拭って、真っ直ぐに銀時を見つめる。

こんなにも大好きで、大切な人が目の前にいるのに銀時は私のことを忘れている。

銀時だけじゃない、沖田や副長までもが。

なんで？私、何かしたかな…。

「あのー、お客さん？」

「あ、はい」

「こちらにどうぞ？」

新八くんに促され、ソファに腰を下ろす。

出されたお茶を一口飲む。

「で、依頼は？」

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