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銃の引き金が引かれたかのように、俺の頭の中で数々の思い出が弾けだした。
一気に今までの忘れていた記憶が流れ込んできて、何だか頭が痛くなった。
閉まっている障子に手を伸ばし、恐る恐る開けてみた。
開けたその先には、優しい笑みを浮かべたお咲。…いや、
「っ、“Aさん”!」
手を伸ばして体を引き寄せ、部屋に引き入れる。
「お…沖田さん?」
喜びと不安が入り交じったような顔で俺を見つめるAさん。そりゃそうか、今の今までにAさんのことなんてすっかり忘れていたのだから。
「何でィ…その呼び方…。あんたは、間抜けな面で俺のこと呼ん出た方がお似合いででさァ。」
「…え、それってやっぱり…!」
Aさんの腕を俺の方に無理矢理引っ張って俺の腕に納めた。
「お、沖田…?」
「今まで…すいやせんでした…!」
「え?」
「Aさんのこと、忘れてて…すいやせんでした…!」
自分のことを、自分の存在を忘れられるということは、無かったことにされるのと同じこと。
それは、とてもなく悲しいことだと思う。
1人って、孤独で誰も頼ることが出来なくて周りが敵に見えてくる。
俺なら、とても耐えられない。
けど、俺はひとりになったときに手を差し伸べてくれる人がいたから。だから頑張れた。
けど、Aさんはずっと1人だったんだ。
しかもAさんは俺のことを覚えて居るのに、忘れてる俺はAさんの気持ちを何も知らずに毎日のように会いに行って。
そう思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。泣くのは俺では無いはずなのに、目からは我慢していた涙が溢れていた。
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ふー - 面白いです!更新頑張って下さい!後名前変換が途中で出来ていないところがあります。面白いので期待しています!これからも頑張って下さい! (2017年12月30日 17時) (レス) id: edcc26f827 (このIDを非表示/違反報告)
巫女@桜(プロフ) - 塩さん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2017年12月24日 17時) (レス) id: 33d27005e4 (このIDを非表示/違反報告)
塩(プロフ) - 先がとっても気になります!更新楽しみにしてます! (2017年12月23日 21時) (レス) id: 96f7dda77e (このIDを非表示/違反報告)
巫女@桜(プロフ) - 金太郎さん» ありがとうございます!頑張ります! (2017年11月26日 7時) (レス) id: 33d27005e4 (このIDを非表示/違反報告)
金太郎(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください(^-^) (2017年11月26日 6時) (レス) id: 5319d2ceb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:巫女@桜 | 作成日時:2017年4月9日 22時