[銀魂]覚えていてね。[坂田銀時]

古い友人とキオクの居場所。 ページ30

Side Gintoki

｢新八、神楽。俺ちょっと出掛けてくっから。
飯は自分で食っとけ、んじゃ。｣

｢え、どこ行くんですか？｣

｢新八、そういうのは聞いちゃダメアルヨ。
ここは素直に行かせてやるべきネ。｣

｢神楽チャァン？！何勝手な妄想しちゃってんの？！｣

『古いダチに会いに行くんだよ。』と言えば新八はホッとしたような顔になり、神楽は面白くなさそうに俺を見ていた。


いやだから、神楽は俺に何を期待してんだよ。

昼ドラ的な展開は絶対ねーかんな。

戸を開けると、外は雨だった。

久しぶりの再会っつーのに雨とか不吉だよな、とか思いつつ適当に傘をとった。

これから再会するのは、寺子屋のときから一緒で俺の姉のような存在である人物。

名は、『椿屋雪』。

面倒見の良い姐御肌な奴で、喋り方は少々キツいけれど頼りになる存在だった。

攘夷戦争では救護班で活躍していた。

松陽に俺より前に拾われた捨て子らしかった。

そのときお雪が身につけていた着物の懐に名前の書かれていた紙が入っていたので唯一名前だけは分かったらしいのだか、それ以外は何も分からず本人も覚えていないらしい。

そんなことを考えていると、お雪と約束した場所についた。

恐らくお雪はもう中で待っているだろう。

｢…行くか。｣

懐かしいあいつの顔を頭に思い浮かべながら、引き戸に手をかけた。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す