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「いらっしゃいませ!」
お雪のもとで働き出して数日。
私は少しずつ心にゆとりを持てるようになっていた。
もういっそ、このままでもいいんじゃないかなんて思えてくる。
私がこれ以上傷つかないように。
これ以上悲しまないように。
自分を守るにはそれしか方法がないのだから。
「嬢ちゃん、今日も可愛いねぇ。」
「お世辞言われても何も出ませんよ?」
「お世辞じゃねぇんだけどな…、取り敢えず三色団子2本頼むよ。」
「はい!」
幸い、ここには銀時や沖田は来ていない。
それだけが唯一の救いだと思っていたのに。
「あれ、こんなとこに甘味処なんかあったかねィ。」
聞きなれた江戸っ子口調。
茶色の髪に、赤い目と整った顔立ち。
そして何より、私が数日前まで着ていた黒い隊服。
________沖田。
なんで、どうして?
私は持っていた皿を落としてしまった。
《パリンッ》
目の前の沖田は私を見て首をかしげている。
まるで、『俺はお前を知らないのに、』なんて言われてるようだった。
私は沖田を覚えているのに、向こうは私を知らないなんて理不尽じゃないか。
「…、おい、どうしやした?」
『Aさん、一緒に見廻りでさァ。』
どうしても、あの楽しかった戻ることの出来ない日の沖田と重なってしまう。
「おい、大丈夫ですかィ?」
「…っ、すいません。ご注文は?」
「みたらし2本頼まァ。」
「はい、少々お待ちください。出来次第席にお持ちいたしますので。」
落とした団子と割れた皿を拾い、中に持っていく。
「みたらし2本と、三色団子2本お願いします。」
『すいません、落としちゃって…』と言うとお雪は焦って私に怪我がないか聞いてきた。
「大丈夫ですよ。じゃ、行きますね。」
みたらしと三色団子を持って店へと出ていく。
先に三色団子を置いて、次は沖田の元へ向かう。
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ふー - 面白いです!更新頑張って下さい!後名前変換が途中で出来ていないところがあります。面白いので期待しています!これからも頑張って下さい! (2017年12月30日 17時) (レス) id: edcc26f827 (このIDを非表示/違反報告)
巫女@桜(プロフ) - 塩さん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2017年12月24日 17時) (レス) id: 33d27005e4 (このIDを非表示/違反報告)
塩(プロフ) - 先がとっても気になります!更新楽しみにしてます! (2017年12月23日 21時) (レス) id: 96f7dda77e (このIDを非表示/違反報告)
巫女@桜(プロフ) - 金太郎さん» ありがとうございます!頑張ります! (2017年11月26日 7時) (レス) id: 33d27005e4 (このIDを非表示/違反報告)
金太郎(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください(^-^) (2017年11月26日 6時) (レス) id: 5319d2ceb9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:巫女@桜 | 作成日時:2017年4月9日 22時