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救いの手 ページ12

ーーこれから、どうしよう。どうなるんだろう。

帰る場所も、頼れる人もここにはいない。

空模様も怪しくなり、終いには雨まで降り出した。

金ならあるから、傘くらい買えるのだけれど今はもう動きたくない。


なんで、こんなことに?

夢だと、これは嘘だと思いたい。明日になれば、皆元通り。

そうだといいんだけど、ね…。

「ふぁあ…」

なんだか眠たいや。もう、疲れたよ。

雨に打たれた私はベタベタ。着物の黒はさらに深い黒になっていた。

私は木の下に移動して、そこに座った。

「ーーおや、どうかしたのかい?」

雨が、やんだ。

顔を上げれば、綺麗な赤色の傘が目に入った。

「…いえ、何も」

「こんな日に傘もささないで泣いてる奴があたしには何もない奴に見えないけど、ねぇ」

聞き覚えのある声に、少しキツめの話し方。

綺麗な黒髪を全て右肩に流して椿の髪飾りを付ける彼女。

そして、優しく微笑みかけるその姿。

「ーーーお雪、」

私の命を救ってくれた、恩人がそこに立っていた。

「おや、あたしを知ってるのかい?」

「え、あ、いや…あの、」

「無理して答えなくていいんだよ、それにしてもあんた…あたしと会ったことないかい?」

「え…」

みんなに忘れ去られた今、その言葉は私を驚かせるには充分だった。

「んー…なんか懐かしい感じがするんだよねぇ」

私の目から、一粒涙が零れ落ちた。

「あんた、名前はなんて言うんだい?」

『あんたの名前を教えておくれ』

「夜咲、A」

「そうかい、いい名前だねぇ」

『素敵な名前を持ってるじゃない』

「『ーーA、あたしの家においで』」

「っ、…はい」

お雪は、やっぱり優しいんだね。

涙がとめどなく流れるなか、お雪は濡れた私の頭を暖かい手で撫でてくれていた。

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ふー - 面白いです!更新頑張って下さい!後名前変換が途中で出来ていないところがあります。面白いので期待しています!これからも頑張って下さい! (2017年12月30日 17時) (レス) id: edcc26f827 (このIDを非表示/違反報告)
巫女@桜(プロフ) - 塩さん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2017年12月24日 17時) (レス) id: 33d27005e4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 先がとっても気になります!更新楽しみにしてます! (2017年12月23日 21時) (レス) id: 96f7dda77e (このIDを非表示/違反報告)
巫女@桜(プロフ) - 金太郎さん» ありがとうございます!頑張ります! (2017年11月26日 7時) (レス) id: 33d27005e4 (このIDを非表示/違反報告)
金太郎(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください(^-^) (2017年11月26日 6時) (レス) id: 5319d2ceb9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:巫女@桜 | 作成日時:2017年4月9日 22時

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