【A3!】酸化した舞台から飛び降りますっ！2 (ページ5)

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ありがとうの言葉【皆木綴】ページ5

『そっか…』

納得をしたように返事をするAの表情と行動は一致していなかった。

含みのある笑い方をして、綴を見たA。

綴｢どうしたんっすか？｣

『この三つの中なら、これが一番いいかも』

そう言って、指を指した本は……。

綴｢千夜一夜物語、か｣

『綴のイメージにキャラを当てはめてみて』

Aの言われた通りにする綴。
どうやらAの意図に気づいていないみたいだ。

綴｢アリババは天馬、シェヘラザードは幸。
アラジンは三好さん、シンドバッドは椋で魔人が斑鳩さんって感じっすね｣

『他のおとぎ話よりも当てはめやすかったんじゃない？』

綴｢え……？｣

綴はそう言われ、頭を回転させて考えた。

綴｢(確かに、千夜一夜物語だけはすぐに出てきた。
Aの言う通り他のおとぎ話よりも当てはめやすかった…)

綴｢そうっすね…｣

『なら、決まりだね』

綴｢千夜一夜物語にするっす｣

『衣装もこれならやりがいがあるかな…？？』

『(女の子の可愛い衣装…着るのは幸だけど)』

すぐさま携帯を取り出し衣装の下地、材料を調べるA。
その姿をみた綴は少しだけ感づいた。

綴｢A、もしかして幸の配慮までしてました？｣

『なんのことかな？』

綴の確信めいた声を聞きながらも恍けるA。

綴｢(すごいな、A。)｣

『それじゃあ、そろそろお暇するね』

そう言い、大量の本を持とうとするA。

綴｢いやいやいや！その量はきついっすよ！？｣

Aの腕を掴み必死に止める綴。

『………いけるでしょ』

綴｢とりあえず、俺も手伝いますんで！！｣

半ば強引に手伝った綴。
その行動には優しさが隠れていたことをAは知っているのか知らないのか。

『ありがとう、綴』

綴｢こちらこそ、ありがとな。A｣

ありがとうの言葉を言い合って、二人は顔を見合わせて笑った。