酸化した舞台から飛び降ります。【A3!】

ビデオテープ ページ47

いづみ｢主役問題も丸く収まりそうでよかった。さすが、綴くんとA！｣

綴｢っす｣

『…ん』

天馬｢でも、アラビアンナイトなんて、装飾が安っぽいとカッコつかないだろ｣

天馬｢衣装はこいつの手作りで大丈夫か？｣

『それは大丈夫、だよ』

天馬｢…？｣

幸｢オーガンジーとスパンコールもいっぱい使って……うん、色々アイデアが浮かんできた。A、衣装の仮書き手伝って｣

『……分かった』

幸｢衣装やりたい、やらせて｣

いづみ｢もちろん！｣

一成｢んじゃ、オレもゆっきーの衣装に合わせてAちょんとビジュアルデザインしよっと｣

『私もするの…？』

一成｢うん、だめ？｣

『上手くできないかもしれないよ？』

一成｢Aちょんに限ってそれはなさそ〜！｣

『そんな自信満々に言われても、ねぇ…。
分かった、やってみる』

いづみ｢今回もよろしくね！｣

天馬｢全部手作りかよ……本当に大丈夫か？｣

『大丈夫だよ、大丈夫だから』

天馬｢まぁ、お前が言うなら大丈夫か…｣


天馬はそう言い、私の頭をポンポンと軽く撫でる。


『そんなに過大評価しないで。でも、失敗する気なんてないからね』

支配人｢監督、いますか〜？｣

いづみ｢あ、支配人。どうかしました？｣

『支配人、その手に持ってるものって何ですか？』

支配人｢倉庫の整理をしてたら、初代夏組の稽古風景を納めたビデオテープが出てきたんです。何か参考になりますかね？｣

綴｢だいぶ古びてんな｣

いづみ｢これ、8ミリビデオですか？｣

支配人｢はい。でも、今寮の8ミリデッキが壊れてまして……｣

『いづみちゃん、そのビデオテープ貸してもらってもいいかな？』

いづみ｢え？うん……｣


私はいづみちゃんから貸してもらった、ビデオテープを眺める。


幸｢何それ？｣

椋｢ビデオって見たことないです｣

支配人｢これがジェネレーションギャップ……！
私ももう老いぼれですね……｣

いづみ｢げ、元気出してください！｣

いづみ｢それより、ビデオデッキがないとなると、どうしましょう｣

支配人｢うーん……｣

一成｢その件、オレに任せてもらってもいー？｣

『私も手伝う』

一成｢うんっ！なにげ、Aちょんとの初の共同作業じゃーん！｣

『はいはい』

一成｢Aちょん、冷たいっ！！｣

『……(まさかのビデオテープも壊れてる)』

一成｢無視っすか！？｣

『え、なに？』


私と一成は談笑しながら談話室を出て行った。

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